【曲紹介】Europe / Dreamer

ヨーロッパ / ドリーマー (1984)

1979年にスウェーデンで結成されたヘヴィメタルバンド。
1984年に発表された2枚目のアルバム[Wings of Tomorrow]の9曲目に収録されています。

世界的に最も有名なスウェーデンのヘヴィメタルバンドであり、日本においても『北欧メタル』というサブジャンルを認知させたパイオニアとして知られるバンドです。
バンドコンテストの優勝特典として地元インディーズレーベルのHot Recordsと契約を結んで発表したデビュー作の[Europe]は、地元スウェーデンだけでなく日本でもアルバムチャートにランクインするヒットとなりました。
その結果に驚いたレーベルからもう一枚のアルバム制作を持ちかけられ、本作のレコーディングを開始します。
プロとして活動していく覚悟を決めて非常に高いモチベーションで作られた本作は、本国でのセールスはデビュー作には及ばなかったものの日本のアルバムチャートで何と24位を獲得。
更には、CBSからの契約を持ちかけられて全米でメジャーデビューを果たします。
バンドのターニングポイントとなった重要な名盤から、もの哀しいムードに満ち溢れたバラードがこちらです。

純朴なピアノのイントロで始まるこの曲は、まだメジャーになる前の古き良き北欧のバンドを象徴する独特の雰囲気に満ち溢れています。
Joey Tempest(Vo)の淡々としながらも要所要所で一瞬だけ燃え上がるソウルフルな歌い回しは、この曲にはこれしかないと断言できる見事なパフォーマンスです。
バックで鳴っている安っぽいシンセのバッキングも、冷たい風が吹き込むような清涼感を感じさせて良い味を出しています。

バラードながらも、John Norum(Gt)がしっかりと自己主張をしているのも聞きどころの一つ。
空間系のエフェクトをたっぷり効かせた美しいアルペジオから、サビではヘヴィなバッキングまで存在感抜群のプレイです。
ギターソロでは敬愛する[Thin Lizzy]からの影響が強く出ている抒情的なメロディをオーバダビング2本重ねてハーモニーを奏でています。
彼のプレイのおかげで軟弱さを微塵も感じさせない優しくもシリアスなバラードに仕上がりました。

飾り気のない素朴なバラードであることがプラスに働いている好例です。
哀愁と穏やかさが同居し、悲しくも微かな希望を感じさせるバランスが絶妙。

同じアルバム収録の[Open your Heat]が表のバラードなら、この曲は裏のバラードでしょう。
世界に羽ばたく前の彼らを象徴するような名曲です。

アルファベット別の記事一覧はこちら!

コメント

タイトルとURLをコピーしました