【曲紹介】Destruction / Bestial Invasion

デストラクション / ベスティアル・インヴェーション (1985)

1982年にドイツで結成されたスラッシュメタルバンド。
1985年に発表された1枚目のアルバム[Infernal Overkill]の5曲目に収録されています。

同郷の[Sodom]、[Kreator]と並んでジャーマンスラッシュ三羽烏とも呼ばれ、ドイツのスラッシュメタルシーンを作り上げてきたバンドです。
1984年に地元のインディーズレーベルSteamhammer Recordsからリリースしたentence of Deathがマニア達からの好評を得ることに成功。
それに続くフルアルバムとなる本作は、バンド自らによるセルフプロデュースで制作されました。
練り込まれた印象に残るギターリフが満載の名盤から、ライブでは毎回演奏される人気の高いナンバーがこちらです。

慌ただしさを前面に押し出した不穏なギターリフが非常に印象的であり、この曲を象徴する名演です。
[Megadeth]の[Rattlehead]を聴いてインスパイアされたとMike(Gt)がインタビューで語っておりましたが、このリフこそが実際のテンポ以上の速度を体感させてくれます。
まるで後ろから何かに追い立てられるかのような焦燥感は、スラッシュメタルの歴史に語る上でトップクラスの名演だと思います。

この時期のDestructionは、なんとも言い表せない独特の浮遊感のあるリズムも魅力です。
Tommy(Dr)のテンポキープすらおぼつかないプレイが、結果的に個性的なリズムの原動力となりました。
いかにもスラッシュメタルらしい攻撃的なリズムからは少し外れた、なんとも微笑ましい雰囲気作りに一躍買っております。
ここにSchmierの苦しそうに呻いているようにも聞こえるヴォーカルスタイルが乗ると、何とも言えない微笑ましい雰囲気を醸し出しています。

冷静に考えると理想としているプレイにスキルが追いついていないだけなのですが、若さと情熱を感じて思わず応援をしたくなります。
バンドが大きな飛躍を遂げるのは2000年代に入ってからですが、この頃から才能の片鱗を感じさせます。
経験と制作予算の乏しさを情熱でカバーし、見事なスラッシュメタルの歴史に残る名曲を作り上げました。
ジャーマンスラッシュメタルを語る上で決して外せないマスターピースです。

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