【曲紹介】Bob Dylan / Like a Rolling Stone

ボブ・ディラン / ライク・ア・ローリング・ストーン (1965)

1959年から活動を始めたアメリカのミネソタ州出身のシンガーソングライター。
1965年に発表された6枚目のアルバム[Highway 61 Revisited]の1曲目に収録されています。

フォークソングとポピュラーミュージックの垣根を取り払い、数えきれないほどのアーティストに影響を与え続けているアーティストです。
デビュー当時は強烈なメッセージを放つプロテスソングをアコースティックギターの弾き語りで歌い、”フォークの貴公子”と呼ばれて時代の代弁者として多くの支持を得ました。
ですが、[The Beatles]や[Rolling Stones]と交流をきっかけに音楽性も変化していきます。
バックバンドを従え、エレクトリックギターを使用するなどロックミュージックへ系統が色濃く現れました。
1965年に発表した前作[It’s All Over Now, Baby Blue]でその方向性が決定的となり、”フォーク・ロック”と呼ばれる新しい音楽ジャンルが誕生。
この路線に憤慨するファンも多い中で[The Byrds]が[Mr. Tambourine Man]のカヴァーで全米1位になる等、新しいファンを数多く獲得しました。
[Paul Butterfield Blues Band]のMike Bloomfield(Gt)と、ソングライターで活躍していたAl Kooper(Key)から全面的な協力を得てニューアルバムをレコーディング。
発表された本作はBillboardチャートで3位に輝き、フォーク・ロックのマスターピースと呼ばれる名盤となりました。
その中から、Bob Dylanにとって最大のヒットシングルとなったナンバーがこちらです。

スネアの強烈な一撃を合図に共にアンプで歪ませたエレキギターとハモンドオルガンが鳴り響くイントロは、ロックミュージックそのものです。
アコースティックギター1本で奏でるフォークソングとは次元の違う音の厚さ。
バンドアンサンブルは風刺の効いた歌詞を邪魔することなく、それを表現する後押しとなる証明にもなりました。

そこに乗るBob Dylanの歌は、これまでのスタイルとは変わらぬ拍子に囚われないトーキングスタイル。
バンドの奏でる整合性のあるリズムと融合し、彼にしか出せない独特のフィールを表現することに成功しました。

これまでもラブソングやダンスミュージック等の”娯楽”としてロックンロールは存在していました。
そこに社会風刺や反体制といったフォークソングの精神を融合させ、新しいスタイルを打ち出したのがこの曲です。

ですが、新しいものを受け入れられないファンも一定数いるものです。
特に、古くからのフォークソング以外を認めたくない旧来のファンからは激しいバッシングを浴びます。
とはいえ、この曲のテーマは相変わらず反体制です。
かつて派手な暮らしをしていた人物が落魄れて転落してきた時、どんな気持ちなのかを尋ねるという辛辣なもの。
ここから先は失うものが無いから這い上がるしかないという痛烈なメッセージを綴っています。

“ロックミュージックは反体制で反権威”

この精神を根付かせるきっかけになったのはこの曲かもしれません。
70年代にニューヨークで生まれ、ロンドンに飛び火をしたパンクロック。
精神性としてはその元祖になったと言っても過言ではない永遠の名曲です。

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