エクストリーム / モア・ザン・ワーズ (1991)
1985年にアメリカのマサチューセッツ州で結成されたハードロックバンド。
1991年に発表された2枚目のアルバム[Pornograffitti]の5曲目に収録されています。
ブラックミュージック由来のファンキーなリズムを取り入れたハードロックサウンドが注目を浴びたベテランバンドです。
A&M Recordsより発表したセルフタイトルのデビューアルバムは、Nuno Bettencourt(Gt)のテクニカルなプレイが話題となりました。
シングルカットされた[Kid Ego]が全米チャートのロック部門で39位に食い込んだり、アルバム収録の[Play with Me]は映画Bill & Ted’s Excellent Adventureの劇中歌に使われたりとレーベルからの期待も高まります。
更なる飛躍のためにMichael Wagenerをプロデューサーに迎えてニューアルバムのレコーディングを開始。
従来のグラムメタルの路線にポップスやファンクの要素をミックスさせたバラエティ豊かな作風は、メディアから[ファンクメタル]と呼ばれて大きく取り上げられます。
その中から、全米チャート1位を記録したバラードソングがこちらです。
ヴォーカルとアコースティックギターのみで構成され、テクニカルで派手なアンサンブルを特異とするバンドとしては異色のナンバーです。
ハスキーでソウルフルなGary Cherone(Vo)の歌声と、コードをリズムを同時に演奏するNuno Bettencourt(Gt)の繊細なプレイ。
そして2人の織りなす絶妙なコーラスワークは、それだけで時間を忘れて聴き入る素晴らしさです。
ある時は蚊の鳴くような優しい囁き声、またある時は情熱的に感情を爆発させるパフォーマンス。
歌詞に合わせて自在に変化するダイナミクスは、静かな中でも聞き手を退屈させないようなストーリーが展開を感じます。
派手でバブリーな雰囲気のトレンドが終わりを告げ、等身大でシンプルなサウンドが求められていた時代。
リスナー達の求めている要素を余すことなく体現できており、そこが大ヒットに繋がりました。
当時は全米でヘヴィローテーションされており、この曲を聞いたことが無い方が珍しいほどの知名度でした。
この曲の大ヒットによってバンドは一気に知名度を上げましたが、第2のヒット曲をレーベルから要求されるようになります。
曲のイメージが一人歩きしてコンサートの動員も期待以上は増えず、皮肉にもバンドを苦しめる結果にもなりました。
演奏に参加をしていないPat Badger(Ba)とPaul Geary(Dr)も、複雑な気分になったかもしれません。
ただ、この曲がバンドの存在を知るきっかけになったファンも少なからずおりました。
同時期に発表された[MR.BIG]の[To Be With You]と並ぶ、90年代を代表するアコースティックバラードの名曲です。
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