コールドプレイ / ア・スカイ・フル・オブ・スターズ (2014)
1997年にイングランドで結成されたロックバンド。
2014年に発表された6枚目のアルバム[Ghost Stories]の8曲目に収録されています。
世界で累計1億枚以上のアルバムを売り上げた、ポピュラーミュージック界屈指のモンスターバンドです。
2000年のアルバムデビューから発表する作品は常に全英チャートで1位となり、2005年に発表した[X&Y]からは主要国全ての音楽チャートのトップを独占する破竹の快進撃を続けます。
また、アルバムごとに音楽性も色鮮やかに変化。
徐々にデジタルなテクノロジーを取り入れる比重を増やし、最先端のトレンドを作り上げていきます。
それが顕著だったのが前作[Mylo Xyloto]で、シンセサウンドを大胆に取り入れてカラフルで煌びやかな作風は大きな話題を呼びました。
2012年にはロンドン・パラリンピック閉幕式典ではヘッドライナーを務め、世界トップバンドとしての貫禄を見せつけます。
翌年には[Brian Eno]のプロデュースから離れたニューアルバムのレコーディングを開始。
完成した本作は、ダークで儚い雰囲気のアンビエントミュージックを取り入れた前作とは対照的な作風となりました。
その中から、[Katy Perry]に影響を受けたアルバムの中でも異彩を放つ明るく開放感のあるナンバーがこちらです。
バンドサウンドとEDMを融合した透明感漂うダンサブルなサウンドは、バンドにとっては新しいチャレンジと言えます。
当時ソロデビューアルバムが世界中で大ヒットを記録していた[Avicii]が本名のTim Bergling名義でプロデュースしており、まさに夢のコラボレーションです。
タイトルに込められた”満天の星”を見事に表現している前向きで煌びやかな雰囲気に満ち溢れています。
イントロのピアノリフが闇夜に溶けるかのように徐々にぼやけていき、Chris Martin(Vo)の歌声と次第に混ざり合うにつれて曲の世界観に引き込まれていきます。
シンセのサウンドで曲が盛り上がってき、大爆発を起こしたように開放的なサビに繋がるアレンジはクラブハウスを熱狂させるEDMのお決まりそのもの。
[Avicii]大ヒット曲である[Wake Me Up]でも聴くことができます。
EDMの要素が強いとは言え、耳をすませばバンドのアンサンブルもしっかりと主張をしていることも解ります。
サビではJonny Buckland(Gt)がシンセと交わるようにカッティングをかき鳴らし、アコースティックギターやディレイを強くかけたアルペジオをオーバーダビングしてバッキングを彩ります。
リズムセクションもエフェクトを強くかけて加工されたサウンドですが、人間的なダイナミクスを感じられるパフォーマンスです。
前向きで希望に満ちた曲調とは対照的に、ネガティブで暗い歌詞の世界には驚かされます。
10年連れ添った妻との離婚を経験したChris Martin(Vo)が作詞を手掛けており、全てが嫌になり自暴自棄になった時に書かれたものです。
かつて心から愛し合った相手を皮肉を込めて空に輝く星と褒め称える、英国人らしいウィットに富んだセンスが伺えます。
ジャンルの枠に囚われず、様々なアーティストとのコラボレーションで幅広い音楽を表現する4人組。
これを良しとしないファンも少なからずいましたが、”次は誰とどんなことをやってくれるんだろう”と期待に胸を高鳴らせて新作の発表を待つファンも世界中に存在するのも事実。
斬新なコラボレーションで、EDMとロックミュージックの垣根を粉々に叩き壊した名曲です。
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