【曲紹介】Annihilator / The Fun Palace

アナイアレイター / ザ・ファン・パレス (1990)

1984年にカナダで結成されたヘヴィメタルバンド。
1990年に発表された2枚目のアルバム[Never, Neverland]の1曲目に収録されています。

カナダを代表するヘヴィメタルバンドとして知られ、初期の頃は複雑な曲展開とスラッシュメタルからの影響が伺える攻撃性の強いサウンドで人気を博しました。

その中でもこの曲は、MegadethがRust In Peaceを発表する12日前に”インテレクチュアルスラッシュメタル”を完成させた衝撃的ナンバーです。

所謂スラッシュメタル的な圧倒的なスピード感はある程度抑えられ、テクニカルなギターリフとドラマチックに展開が変化する独自のスタイルを前作よりワンランク上のステージまで押し上げました。
非常に複雑に作り込まれていながら、それを悟られないように展開のつなぎ目を丁寧に丁寧に構築しているセンスには脱帽です。

ただ、テクニカル一辺倒ではなく、よく聴けばメロディを大切に奏でています。
随所で聴けるIron Maidenからの影響の大きいメロディアスはフレーズは、複雑な展開の中で清涼剤のように輝いています
かと思えば、ヒステリックなシャウトをギターで演出したりと多重人格者のように聞き手の感情を揺さぶってくるところが一筋縄ではいきません。

意外なところで、USパワーメタルバンドのOmenが発表したガッカリアルバムであるEscape to Nowhereで歌っていたシンガーのCoburn Pharrが参加しているところもマニア心をくすぐります。

あちらの作品ではOmenらしからぬポップな楽曲の中で空回り気味に歌っていましたが、こちらでは曲調にとても合う表現力豊かな歌声を聴かせてくれます。
楽曲次第では非常に魅力的なシンガーであることに気付かせてくれました。

スラッシュメタルにテクニカルな演奏とメロディアスなソロを盛り込んだバンドは星の数ほど生まれましたが、ここまでギリギリの線を攻めている楽曲はなかなかありません。
スラッシュメタルと呼べなくもないけれども、それにしてはあまりにもメロディアス。
正統派ヘヴィメタルのと呼べなくもないけれども、それにしては少しひねくれ過ぎ。

まさに、カナダが誇る孤高のヘヴィメタルバンドです。
このバンドを知るには最適なナンバーです。

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