【曲紹介】Fate / Everything About You

フェイト/ エブリシング・アバウト・ユー (2006)

1984年にデンマークで結成されたハードロックバンド。
2006年に発表された5枚目のアルバム[V]の3曲目に収録されています。

[Mercyful Fate]を脱退したHank Shermann(Gt)を中心に結成。
彼が過去にやっていたバンドとは180度方向性の違う煌びやかなメロディのハードポップサウンドが多くのファンに驚きを与えました。
しかし、後に[Freak Kitchen]で活躍するMattias IA Eklundh(Gt)加入後は音楽性が大幅に変化。
テクニカルなギターサウンドを全面に押し出した1990年発表の[Scratch ‘N’ Sniff]は、彼らの代表作として愛される作品となります。
その後バンドは一時解散状態となりますが、2004年にPete Steiner(Key)を中心に再結成。
待望の復活作から、壮大でドラマチックなミドルナンバーがこちらです。

イントロのフレーズを聞けば誰もが驚くでしょう。
[The Animals]の[Please Don’t Let Me Be Misunderstood]のイントロをそのまま流用しています。
デビューアルバムに収録された[She’s Got The Devil Inside]でも似たようなフレーズが出てきましたが、こちらは似ているどころでは済まされません。
日本では[尾藤イサオ]が、HR/HM界では[Gary Moore]がカヴァーしている世界的に有名なスタンダードナンバーです。
これだけ知名度のある曲のフレーズを流用するのは相当に勇気のいることです。

ただ、フレーズは同じでも楽曲の雰囲気は全く異なります。
再結成前のポップな路線から、シンフォニックでヘヴィな音楽性へ転換しています。
ですがメロディアスな部分は継承しており、Per Johansson(Vo)の味わい深い歌唱はダークな雰囲気との相性が抜群。
絞り出すようなアクの強い歌声なのですが、慣れると癖になる魅力に溢れています。

80年代に活躍したバンドが再結成をした際、時代のトレンドに合わせてヘヴィな路線に転換したことでファンからの不評を買うバンドは多くあります。
Fateの場合は、持ち味のメロディアスな部分とシンフォニックなアレンジをわずかにスパイスとして加え、別のバンドとして生まれ変わることに成功しました。
残念ながらセールス面では失敗に終わり、ほとんど注目されませんでした。
ですが、このまま埋もれさせるにはあまりにも勿体無い隠れた名曲です。

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