ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース / ハート・オブ・ロックン・ロール (1983)
1979年にカリフォルニアのサンフランシスコで結成されたロックバンド。
1983年に発表された3枚目のアルバム[Sports]の1曲目に収録されています。
Huey Lewis(Vo)を中心に結成され、80年代のアメリカンミュージックの象徴となったバンドです。
カントリーロックバンド[Clover]の一員として活動し、[Elvis Costello]のバックや[Thin Lizzy]のツアーサポートで下積みを続けるも商業的な成功なくバンドは解散。
新たにサンフランシスコのミュージシャンを集めて新たなバンドの結成を果たしました。
1980年に大手のChrysalis Recordsと契約を結んでデビューアルバムを発表しますが、当初はほとんど注目をされずに苦しい時期が続きます。
ですが1982年に発表した[Supercharge]のカヴァー[Do You Believe In Love]がシングルでヒットし、2枚目のアルバム[Picture This]もBillboardチャートで13位を記録して初の成功を手にします。
その翌年に発表した本作はMichael Jacksonの[Thriller]と共にチャートの上位を独占し、最終的に800万枚以上を売り上げる大ヒット作となりました。
その中から、アルバムのトップを飾る軽快なロックンロールナンバーがこちらです。
ドクドク響く心臓の鼓動のSEから一気に解放されたように飛び出す軽快なロックビートは、思わず体が動いてしまうほどご機嫌です。
ニューウェイブがヒットチャートの上位を独占していた時代、50年代のロックンロールにレイドバックしたサウンドはかえって新鮮でした。
必要最小限の音数で、ひたすらシンプルでロールするアンサンブルは心地良いことこの上なし。
バンドのリーダーであるHuey Lewis(Vo)のソウルフルな歌声もよく映えます。
アフリカ系の居住区の近所に住居を構え、ブラックミュージックが常に身近にある少年時代を送った経験が歌い方によく現れています。
パワフルでハスキーな野太い声が軽快なビートと融合し、その包容力はまるで肩を抱かれているようです。
曲のテンポも工夫が凝らされており、成人の平均心拍数に合わせてあります。
イントロとアウトロで聞こえる鼓動がまさにそれであり、心地よく感じるリズムは計算の元に作れるのだと感心させられました。
そこに熟練の技を見せるアンサンブルが絡みます。
音数は最小限にそれぞれの楽器をドミノ方式で積み上げて行く作り方は、古き良きロックンロールやモータウンサウンドに通じるものがあります。
また、よく聴くと歌詞の中にアメリカの都市名がこれでもかと詰め込まれています。
New York City
Los Angeles
Washington D.C.
San Antonio
Philadelphia
Boston
Baton Rogue,
Tulsa
Austin
Oklahoma City
Seattle
San Francisco
Cleveland
Detroit
ツアーで様々な場所でオーディエンスを熱狂させ、それぞれの街での独自の文化を楽しんでいるかのようです。
アメリカ全土、どの街に行ってもいつの時代もロックンロールの鼓動が息づいています。
どんな音楽が流行しようと、根っこにあるものは変わらない。
そんなロックンロールを愛する全ての人への応援歌は、時代を超えて愛される名曲となりました。
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