コールドプレイ/ ポリティーク (2002)
1997年にイングランドで結成されたロックバンド。
2002年に発表された2枚目のアルバム[A Rush of Blood to the Head]の1曲目に収録されています。
世界で累計1億枚以上の作品を売り上げたをモンスターバンドです。
地元ロンドンでローカルな活動を行っていましが、[U2]や[R.E.M]、そして[Radiohead]に影響を受けた内に秘めたる感情を静かに歌い上げるスタイルが人気を博します。
2000年に発表したデビューアルバムの[Parachutes]は、なんと世界で330万枚を超える脅威的なセールスを記録。
それに続く本作は、ギターとピアノに比重を置いたロック色の強い作風で前作を上回る人気作品となりました。
その中から、静と動の極端な対比が魅力的な人気曲がこちらです。
全ての楽器を4分音符の連打でひたすらユニゾンさせる狂気のアレンジで幕を開けます。
アルバムタイトルのA Rush of Blood to the Head (頭に血が上る)を表現しているのでしょうか。
ディストーションで歪ませたギターや、セットを破壊せんとばかりにフルパワーで叩き込まれるドラムは、デビュー作にはない激しさです。
歌が入った瞬間に全ての楽器がフッと消え、微かに聞こえるピアノリフをバックに歌が始まる展開にはゾクリとさせられました。
静かな怒りによる一触即発の雰囲気が漂います。
曲の雰囲気はどこまでも陰鬱。
バックで常に鳴っている哀しい響きのシンセが、それをさらに際立たせています。
力なく歌うChris Martinの声は、まるで何かに救いを求めるようです。
美しいメロディの中に含まれた致死量に満たない程度の毒。
体をわずかに痺れさせる程度の効力しかありませんが、その魅力に取り憑かれると無しでは生きられなくなります。
後に世界の頂点に立つビッグなバンドに成長していきますが、洗練されてクリーンになった彼が失ったものがこの曲には間違いなくあります。
この頃はまだ先人達の模倣から抜け出せているとは言えません。
ただ、自分達のスタイルを作り上げようともがいている意気込みは十二分に感じられます。
若さと情熱だけで作り上げた、オルタナティブロックの世代交代とも言える名曲です。
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