【曲紹介】Alice In Chains / Man In the Box

アリス・イン・チェインズ / マン・イン・ザ・ボックス (1990)

1987年にアメリカのシアトルで結成されたオルタナティブロックバンド。
1990年に発表されたデビューアルバム[Facelift]の2曲目に収録されています。

グランジムーブメントの代表格であり、同郷のNirvanaやPearl Jamと共にシーンを引っ張ったバンドです。
[Alice N’Chains]のギタリスト兼シンガーであるJerry Cantrellを中心に結成され、その前身バンドであるAlice In Chainsから名前を貰って活動を始めます。
リリースしたデモテープがColumbia Recordsの目に留まり、メジャーデビュー作のEP[We Die Young]が地元でヒットしました。
手応えを感じたバンドはすぐさまデビューアルバムのレコーディングに着手します。
こうして発表された重苦しく陰鬱なヘヴィメタルの雰囲気に溢れたデビューアルバムは、全米42位の大ヒット作となりました。
その中から、バンドを代表する人気曲である退廃的なヘヴィナンバーがこちらです。

重く引きずるようなリズムのパワーコードのリフが印象的で、閉塞感が曲全体を支配しています。
その雰囲気を的確に表現しているのが、全てに絶望をしたかのように歌うLayne Staleyの声です。

粘液が絡みつくような歌い方は、心の内面に響いて来ます。
普段は囁くように歌っているのに、サビになると一気に感情を解放して叫び声を上げる表現の幅の広さには驚くばかりです。
溜め込んだエネルギーが大爆発するようなカタルシスを感じました。

若くしてドラッグによってに命を奪われてしまいますが、溢れ出る才能には頭が下がるばかりです。

また、コーラスやサビでの合いの手を入れるJerry Cantrellのサイドヴォーカルも聞き所です。
Layne Staleyと比べるとストレートで無機質な声なのですが、そこが良いコントラストになってお互いを引き立て合っています。

この曲の聞きどころは、音の隙間が多いリズムにあります。
ヘヴィメタルのように音を詰め込むアプローチとは真逆です。
ビートの裏拍を強調したギターリフと、表拍を強調したドラムパターンが混ざり合って、心地のリズムの良い揺れが生まれています。
リハーサルを重ね、じっくり時間をかけてお互いのリズムを合わせた結果です。

ハードロックの雰囲気を残しつつも、伝統とはまた違ったアプローチで新しい時代を切り開きました。
グランジムーブメントを代表する名曲です。

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