イン・フレイムス / ヨートン (1997)
1990年にスウェーデンで結成されたヘヴィメタルバンド。
1997年に発表された3枚目のアルバム[Whoracle]の1曲目に収録されています。
デスメタルに[Iron Maiden]からの影響を受けたツインリードのギターハーモニーと北欧民謡の要素を融合し、メロディックデスメタルが支持を得る基礎を作り上げました。
前作発表後に所属するWrong Again Recordsが倒産。
ドイツの名門であるNuclear Blastへ移籍し、気持ちを新たにレコーディングを開始します。
デビュー時からのパートナーのFredrik Nordströmを共同プロデューサーに、彼の所有するStudio Fredmanでレコーディングされた本作は、スウェーデンのメロディックデスメタルの人気を決定づける代表作となりました。
その中から、抒情性溢れるメロディに彩られた人気の高いナンバーがこちらです!
メランコリックなギターのメロディを中心に展開するスタイルはオーソドックスなヘヴィメタルに極めて近く、デスメタルの要素はデスボイスが入っていること以外は希薄です。
メロディの抒情性がとにかく強烈であり、イントロで流れるような絶望感すら感じさせる哀しい旋律は凄まじいインパクトです。
頭で考えずに内面から滲み出てくるものを音で表現しており、フレーズの細かいニュアンスは真似しようとしても中々できるものではありません。
音作りも含めて、まさにこの曲を表現するにあたって理想的なバランスです。
いかなる時も常にギターのメロディが流れ続けている為、楽曲全体がギターソロと言っても過言ではありません。
2本のリードギターは綿密な計算でハーモニーを奏でており、丁寧に構築されています。
一つのフレーズを抜き出してみても、単音で奏でる部分と音を重ねる部分が複雑に絡み合っています。
リードギターが楽曲の中で最も目立つようにミックスされているからか、ギターがシンガーの代わりにメロディを歌い、シンガーはリズムギターの代わりに下から楽曲を支える。
ポピュラーミュージックとは真逆の立ち位置となっている構成が出来上がりました。
この数年後にバンドは洗練されたオルタナティヴメタルバンドとして世界に羽ばたきますが、この頃の良い意味での田舎臭さを忘れることのできないリスナーが数多くいることも頷けます。
数多くのメロディックデスメタルの楽曲が存在しますが、メロディの抒情性で言えば最高峰に位置します。
特に、イントロのフレーズはその代名詞とも言える名演です。
メロディックデスメタル入門にはぜひこの曲を!
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