【曲紹介】X JAPAN / DAHLIA

エックス・ジャパン / ダリア

1982年に千葉県館山市で結成されたヘヴィメタルバンド。
1996年に発表されたX時代から数えて通算5枚目のアルバム[DAHLIA]の1曲目に収録されています。

スピードメタルにメロディアスな旋律とクラシカルなアレンジを取り入れ、奇抜なルックスによるイメージ戦略でヴィジュアル系という音楽スタイルを作った伝説のバンドです。
1992年に海外進出を狙う上で、すでにロサンゼルスに70年代から活動している同名のバンドがいることからX JAPANと改名を行います。
前作の[Art Of Life]から3年の歳月をかけて完成した本作は、メロディアスなバラードやインダストリアルの要素を含んだバラエティ豊かな内容となりました。
その中から、唯一のメロディックメタルナンバーがこちらです。

アルバムデビュー当時に見られた勢いに任せて全てを薙ぎ倒すかのようなゴリ押しのサウンドは完全に払拭され、無駄を削ぎ落とし、洗練されたアンサンブルとシンフォニックなアレンジが実に見事なメロディアスナンバーに仕上がっています。
サウンド面でも、ヘヴィメタルバンドの音作りからは一線を画す柔らかく分離の良い綺麗なギターサウンドが特徴的です。
尖った部分をとことん排除し、幾重にもオーヴァーダビングをした不思議な音像です。

荒々しさの権化のようだったYOSHIKIのドラムは、従来では考えられない丁寧なプレイをしています。
手足のコンビレーションを絡めたテクニカルなプレイが目立ち、別人のようにしなやかなドラミングとなっています。
驚くことに、ツインバスの高速連打を一切行っていません。
トレードマークだったプレイを封印してでも、新しい表現にチャレンジする意欲を感じます。

この曲の主役は、間違いなくToshiの歌です。
ハスキーなハイトーンは相変わらずですが、力みが完全に取れた美声を響かせており、スピードナンバーの中でもこんな歌い方ができるのかと驚かされます。
パートによっては強烈なエフェクトがかかっているのですが、それが解けた瞬間の声にはゾクリとさせられます。

複雑な展開の中にも全編にわたって60人ものオーケストラーを使った幻想的なストリングスのアレンジが施されており、哀愁漂うメロディラインをこれでもかと引き立てています。
儚さすら感じる旋律の中からは、俗に言うシンフォニックメタルとは全く違った質の日本のアーティストにしか出すことのできない侘び寂びすら感じます。

かつては粗大ゴミバンドと呼ばれ、ヘヴィメタル界隈からも煙たがられたバンドが究極までの美を追求したスピードナンバーの最高峰です。

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