【曲紹介】Overkill / Deny the Cross

オーヴァーキル / デニー・ザ・クロス (1987)

1980年にニュージャージー州で結成されたスラッシュメタルバンド。
1987年に発表された2枚目のアルバム[Taking Over]の1曲目に収録されています。

結成以来、アメリカ東海岸で活動するスラッシュメタルバンドの代表格として君臨し続けるベテランバンドです。
地元での精力的な活動や自主制作でのEPがアンダーグラウンドで人気となり、ニューヨークへ拠点を移してMegaforce Recordsから記念すべきファーストアルバムである[Feel The Fire]をリリースし、スラッシュメタルファンから大絶賛をもって迎えられました。
アルバムリリースに伴うAnthraxAgelt Steelと共に回ったヨーロッパツアーや、Slayerの前座としての全米ツアーが身を結び、遂にはメジャーレーベルであるAtlantic Recordsと契約を果たします。
その記念すべきメジャーデビューアルバムのトップを飾るナンバーがこちらです。

過去とは比較にならない予算でレコーディングを行い、どれだけハードコアなスラッシュメタルが聞けるのかと思いきや。
Iron Maidenのようなドラマチックなイントロが流れて来ると一抹の不安が頭をよぎります。

ですが、それも杞憂に終わりました。
スラッシュメタルは違うスピードをいくらか抑えたパワーメタル風の仕上がりですが、元々持っていたハードコア色の強いOverkillの持ち味と見事に融合しています。
重戦車のように全てを薙ぎ倒して突き進むパワーを感じます。

ザクザクとした重低音ギターリフとユニゾンするツーバスの連打は、当時インディーズシーンで大流行したマイナーUSパワーメタルそのものです。
欧州のヘヴィメタルに影響を強く受けたサウンドは、アメリカのバンドらしからぬ雰囲気を感じさせてくれます。

そこに唯一無二の声を持つシンガーのBobby “Blitz” Ellsworthが歌えば、Overkillだけの個性が際立ちます。
怒りに喚き散らすギャングのような超攻撃的なパフォーマンスはどこかコミカルな雰囲気もあり、近寄り難い雰囲気を緩和してくれます。
しかも、メジャーデビューが影響したのかメロディラインを歌うようにまでなりました。
歌唱力は決して高くありませんが、味のある声です。

たった1作しか聞くことのできない超正統派パワーメタル期のOverkillを代表する名曲です!

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