【曲紹介】Death / Suicide Machine

デス / スーサイド・マシーン (1991)

1983年にフロリダで結成されたデスメタルバンド。
1991年に発表された4枚目のアルバム[Human]の2曲目に収録されています。

非常に高度なアンサンブルの技術。
そして、息つく暇もないほど目まぐるしく変化する曲展開を前面に押し出し、[テクニカルデスメタル]が生み出されるきっかけとなりました。

ギターリフが変わる度に、曲のテンポとリズムごと変化して、それをパズルのように組み合わせて1曲を完成させています。
文字だけで表現すると全く統一感が無いように感じるのですが、これが不思議とどの展開もスッと耳に馴染んでくれるからあら不思議。
おそらくは完成系が頭の中にあり、それをバラバラのパーツに分解した上で再構築したのでしょう。

コンセプトは、無機質で不安感を煽る音使いです。
不安を煽る不協和音のフレーズを全てのリフに盛り込み、ジェットコースターのように急速な変化を遂げる曲展開を添えてリスナーの心を見事に揺さぶります。

そして、そこに彩りを添えてくれるのが楽器陣の卓越した演奏力を駆使したプレイです。
この時期のDeathはバンド形式を解体してリーダーであるChuck Schuldinerのソロプロジェクトとなっており、他のメンバーは雇われのサポートミュージシャンですが、全員が凄まじいテクニックの持ち主。

当時はまだアマチュアバンドだったプログレッシヴメタルバンドのCynicからギターのPaul MasvidalとドラムのSean Reinert(なんと2人とも10代!)
ベースにはスラッシュメタルバンドのSadusからSteve Di Giorgioが参加しています。

全員、JazzやFusionから影響を受けた音数を詰め込んだプレイを得意技としているのですが、これがまた強烈!
ゴリゴリバキバキと普段はボトムを支えているベースが、ブレイクの部分でウネウネと芋虫のように這い回る気持ちの悪いフレーズを切り込んでみたり、音の隙間を埋めるかの如く繊細なダイナミクスで小技をかましてくるドラムは、これまでのデスメタルの常識では考えられないプレイです。
耳をすまして聴けば聴くほど新しい音が発見できます。

時代を超えて愛される名曲と呼んで間違いないでしょう。
彼らが起こした革命で、この楽曲のエッセンスを様々なエクストリームメタルで聴けるようになりました。
まさに音の革命です。

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