トライアンフ / ヘッディド・フォー・ノーウェア
1975年にカナダで結成されたハードロックバンド。
1987年に発表された9枚目のアルバム[Surveillance]の3曲目に収録されています。
[Rush]と共にカナダのハードロックのシーンを盛り上げてきたバンドです。
ギタリストとドラマーのツインヴォーカルによるユニークなトリオ編成が話題を呼び、1981年に発表した[Allied Forces]がBillboardチャートで23位に輝くなど成功を収めます。
しかしその後のセールスが振るわずに苦戦を強いられ、レーベルからはPOPな曲を中心に書くようにと圧力がかかります。
前作の[The Sport of Kings]からシングルカットされた[Somebody’s Out There]はそんなレーベルからの要求に応えた曲であり、全米シングルチャートの27位まで上昇しましたが本国カナダでは満足いくセールスが得られませんでした。
そこで、原点回帰とばかりに自分たちのルーツに立ち戻った本作をリリースします。
それが功を奏し、カナダのアルバムチャートでは久々の35位の好成績を記録してバンド後期の代表作として愛される名盤となりました。
その中から、特にファンの間で人気の高いアップテンポのナンバーがこちらです。
Triumphの数ある楽曲の中でも、トップクラスのスピード感とスリリングな展開に満ち溢れています。
単音のアルペジオで鳴らされるイントロのドラマチックなリフから、中間部分での怒涛のギターバトルまで曲全体を支配する一瞬たりとも気の抜けない緊張感はまさに圧巻の一言。
クールな雰囲気ながらも内に秘めたる熱さを感じさせるサビのメロディラインは、一度聴いたら耳から離れません。
まるでモータースポーツのBGMを聴いているような感覚を覚えましたが、それもそのはず。
同年にF1グランプリのテーマ曲として採用された[THE SQUARE]の[TRUTH]と酷似しています。
リリースのタイミングからするとただの偶然としか思えないのですが、生まれた国は違えど持ち合わせている感性には似たものがあるのでしょう。
この曲最大の聞きどころと言えば、Steve Morseとの圧巻のギターバトルです。
[Dixie Dregs]や[Steve Morse Band]で活躍し、当時は[Kansas]にも加入していた彼とRik Emmett(Gt)が繰り出す火花が散るようなソロの応酬には、ただただ圧倒されるばかり。
テクニックを見せつけ合うだけではなく、徐々に盛り上がるように構築された展開には手に汗握ります。
これこそ、ギターバトルのお手本とも言える歴史に残る名演です。
セールスが低迷していたバンドが、本来のハードな音楽性を取り戻すべく起死回生とばかりに放った必殺の一撃。
80年代のカナディアンハードロックを象徴する名曲へと見事に仕上がりました。
メロディアスロックファンも、スーパーギタリストのファンもどちらも楽しめる必聴ナンバーです。
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