【曲紹介】Crimson Glory / Red Sharks

クリムゾン・グローリー / レッド・シャークス (1988)

1983年にフロリダ州で結成されたヘヴィメタルバンド。
1988年に発表された2枚目のアルバム[Transcendence]の曲目に収録されています。

ツインリードのギターとハイトーンのヴォーカルを主体としたドラマチックな正統派ヘヴィメタルの王道であるため、他のバンドとの差別化を図るために全員が仮面を身につけると言うインパクトの強いルックスで話題になりました。
地元フロリダのインディーズレーベルよりデビューアルバムをリリース後、大手レーベルである行なっているMCA Recordsとの契約を勝ち取ります。
ヨーロッパではRoadracer Recordsからの配給となり、万全の体制で地元フロリダにある後にデスメタルの聖地と呼ばれるようになったMorrisound Studioでレコーディングされたセカンドアルバムから、ドラマチックで緊張感溢れるナンバーがこちらです。

初期のQueensrycheに影響された無機質で追い立てられるかのような不安を煽る雰囲気のサウンドで、正統派ヘヴィメタルの路線だった前作と比べてプログレッシヴメタルのカラーが濃くなっています。
とはいえ、変拍子や目まぐるしく変わる展開などはあまりなく、基本となっているのはオーソドックスなヘヴィメタルサウンドです。

このバンドの最大の特徴といえば、フロントマンであるMidnightの並外れたハイトーンボイスです。
比較対象とされるシンガーにQueensrycheのGeoff Tateがいますが、ハイトーン以外はスタイルが全く異なっており、エモーショナルにメロディを丁寧に歌うGeoff Tateに対してMidnightは勢いに任せて声を張り上げるパワーメタル系のシンガーです。
そのハイトーンは強烈で、ギターソロ後のリズムチェンジをしたパートでのシャウトは超音波のように響き渡り破壊力は抜群です。
比較的あっさりした印象を与えがちな楽曲であっても、Midnightの声がリスナーに強いインパクトを与えます。

ギターも地味ながらもメロディアスなプレイが光っており、イントロやギターソロの後半等ではIron Maidenからの影響が美しいツインリードを奏でています。
ドラムパートだけサンプリングを使ったような個性的なサウンドですが、これは全ての音を分離させるためにシンバルの音だけを別でレコーディングして後から被せたようです。
実験の結果は本人たちが期待した効果を得るところまでは至らなかったようですが、SFに影響を受けたサウンドには案外ピッタリの音だと個人的には思います。

仮面を被った無機質な外見や音質、それに相反する内に秘めたる炎がメラメラと燃え盛る歌唱が見事に融合しました。
80年代のプログレッシヴメタルを代表する名曲です。

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