【曲紹介】Thin Lizzy / Jailbreak

シン・リジィ / 脱獄 (1976)

1969年にアイルランドで結成されたロックバンド。
1976年に発表された6枚目のアルバム[Jailbreak]の1曲目に収録されています。

アイルランド民謡とロックを融合させ、ギターが奏でる美しいツインリードのハーモニーで世界的に人気を博しました。
デビュー当時は人気が奮いませんでしたが、ハードロックのスタイルに移行してからは凄まじい勢いでセールスが伸びます。
本作では遂に全米チャートで18位を記録し、バンドの代表作となりました。
その中から、アルバムのトップを飾るシンプルなギターリフとスピード感のあるビートが魅力的なナンバーがこちらです。

前作からハードロックのカラーを色濃く打ち出してきましたが、ここでは更にその傾向が強まりました。
ディストーションで歪ませたギターサウンドは、まさにハードロックそのもの。
切れ味の鋭いリフとタイトなリズムが全面に押し出されています。

ですが、ただのハードロックバンドでは終わりません。
Phil Lynottの囁くように歌う甘い声が乗るために唯一無二の個性が演出されます。
ハードな演奏とのコントラストが実に良いバランスです。
ガイアナ人とアイルランド人のハーフであり、特徴的なアフロヘアも人の目を惹きつけて離さない要因となっています。

楽曲を彩る核となっているのが、Brian Downeyのドラムです。
音の隙間を完璧に埋め、まるでPhil Lynottと一緒に歌うかのようにリズムを刻むプレイは絶品です。
曲のテンションに合わせてスピードをコントロールする力量は世界でもトップクラスです。
多くのドラマーはこのギターリフに対してスネアのバックビートにアクセントをつけますが、彼はハイハットの刻みを中心にリズムを作っているため、軽やかに走り抜けるようなリズムが生まれます。

バンドのトレードマークである美しいギターソロはありませんが、リズムと曲展開でリスナーを魅了します。
間奏部分で徐々に音量を落としていき、『Break Out!』の号令と共にサイレンの音に合わせて激しいギターとドラムの応酬が繰り広げられるアレンジは見事です。
脱獄をテーマにしており、監獄の壁を破壊して飛び出すシーンが浮かんできます。
楽曲のクライマックスで、手に汗握る場面です。

多くのアーティストに演奏され、語り継がれる代表曲です。
今後も末長く愛されることになるでしょう。

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