ヴェイダー / 翼 (2000)
1983年にポーランドで結成されたデスメタルバンド。
2000年に発表された4枚目のアルバム[Litany]の1曲目に収録されています。
東欧地域のデスメタルバンドとしては圧倒的人気を誇るバンドであり、ポーランドで最も成功したヘヴィメタルバンドとしても有名です。
前作の[Black to the Blind]が本国ポーランドにてHR/HM部門でトップの売り上げを記録したことにより、アメリカの大手レーベルであるMetal Blade Recordsとの契約に成功します。
そして全米ツアーを回り、ヨーロッパツアーでは[Testament]とのダブルヘッドライナーで大成功させるなどバンドを取り巻く環境は充実していきます。
最高のコンディションでレコーディングに臨んだ本作は、デスメタルの名盤として世界中のファンを熱狂させました。
その中から、アルバムのオープニングを飾るインパクトの強いブルータルなナンバーがこちらです。
一聴して驚くべきは強烈なバスドラムのサウンド。
まるでEDM(ダンスミュージック)で使われるような図太い音でドムドムと打ち鳴らされます。
デスメタル特有のアタックの非常に強いガチガチしたサウンドとは一線を画しています。
この音質でツインバスの連打やブラストビートを叩くのですから、その破壊力は削岩機さながらです。
音が壁のように押し寄せ、押しつぶされそうになります。
ですが、強烈なサウンドに対してアレンジは非常にシンプル。
邪悪な音階をひたすらトレモロで繰り返すだけのメインリフは、驚くほどキャッチーです。
本人たちが尊敬してやまない[Kreator]の[Ripping Corpse]あたりを整合感のあるアンサンブルで演奏するとまさにこんな感じになるのでしょう。
緩急をつけたリズムも実にエキサイティング。
間奏でハーフビートからブラストビートに移行するパートや、後半でテンポチェンジした後の怒涛のツインバスの連打は凄まじい突進力です。
まるでジェットコースターに乗せられているかのような興奮が味わえます。
Piotr(Vo/Gt)のデスボイスも野獣のように強力なものではなく、スラッシュメタル風の吐き捨て型で聞きやすいものです。
デスメタルを聞いたことがないけれど興味があるというリスナーにうってつけの曲だと言われる要因はここにあるのでしょう。
本作発表後、ポーランドを代表するメタルバンドと呼ばれるまで成長を遂げます。
世界中のマニアを熱狂させた、激烈なサウンドとシンプルなアレンジが絶妙に絡み合った名曲です。
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