アイアン・メイデン / プローラー (1980)
1975年にイングランドで結成されたヘヴィメタルバンド。
1980年に発表されたデビューアルバム[Iron Maiden]の1曲目に収録されています。
数多くのフォロワーを生み出した、ヘヴィメタルを象徴するトップバンドです。
結成から数年はメンバーが非常に流動的でしたが、1978年に初めてのデモを制作。
このデモがHeavy Metal Soundhouseというクラブハウスを経営していたNeal Kayの目に留まり、彼の持っているレーベルから発売されます。
数週間で5000枚が売り切れるほどに話題となり、そのままの流れでEMIからメジャーデビューする運びとなりました。
ブリティッシュロックにスピード感のあるビートを加えた斬新なサウンドは”ヘヴィメタル”と呼ばれるようになり、ロンドンを中心にNWOBHM(ニューウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)のムーブメントを巻き起こします。
歴史の始まりとなるデビューアルバムは、全英チャートで4位に輝くヘヴィメタルのマスターピースとなりました。
その中から、7分を超えるプログレッシブなナンバーがこちらです。
低音をカットした硬質なサウンドでガリガリと刻まれるイントロのギターリフは、強烈なインパクトです。
後にヘヴィメタルのスタンダードとなる黄金フレーズですが、ここまでエッジの効いたソリッドなサウンドは当時としては革新的だったのではないでしょうか。
何度聴いても胸が高鳴ります。
ブリティッシュハードロックの流れを汲む叙情的なメロディラインと、Paul Di’Annoのパンクロックに影響を受けた吐き捨てるような歌い方が混ぜ合うことにより、不思議なケミストリーが起こっています。
このバンドの初期を象徴とする独特な雰囲気です。
間奏でテンポアップしてギターソロに突入する展開は、前代未聞。
当時としてはハードコアパンクよりも更に速く、スピードメタルの雛形を作り上げた名演です。
当時、リアルタイムでこの曲を聴いたリスナーの衝撃は相当なものだったでしょう。
このスピード感を演出しているのが、リーダーでありベーシストのSteve HarrisとドラマーのClive Burrです。
前のめりで攻撃的なビートを得意としており、叩きつけるようなサウンドで背中に蹴りを入れるようにリズムを牽引しています。
また、音の粒立ちが良いので音数の割にスッキリした印象を与えます。
ハードロックは音圧でリスナーを圧倒するアプローチを突き詰めて来た歴史があります。
その歴史に背を向けてアタック感を極限までに突き詰めた結果、このような革新的なサウンドが生まれました。
ヘヴィメタルの夜明けを予感させます。
デビューアルバムのトップトラックで、早くもその後の成功が約束されたかのような歴史的名曲です。
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