メガデス/ スキン・オー・マイ・ティーズ(1992)
1983年にロサンゼルスで結成されたスラッシュメタルバンド。
1991年に発表された5枚目のアルバム[Countdown to Extinction]の1曲目に収録されています。
スラッシュメタルにテクニカルなアンサンブルと複雑な曲展開を融合して発展に貢献したバンドです。
ギターリフの応酬とメロディアスなギターソロをバランス良く取り入れた前作[Rust In Peace]は、グラミー賞ベスト・メタル・パフォーマンス部門にノミネートされる快挙を果たしました。
ヒットアルバムを提げてClash of the Titansと題されたヨーロッパツアーへ[Testament]、[Slayer]、[Suicidal Tendencies]と共に繰り出し、後に伝説となる程の大成功を収めます。
それに続けと前作と同じメンバーでレコーディングされた本作は、シンプルなアレンジとミディアムテンポの楽曲を中心の作風に仕上がりました。
従来のファンの中からは失望の声も挙がりましたが、それを遥かに超える多くの新規ファンを獲得した結果、全米チャート初登場2位に輝いて商業的にも大成功となります。
その中から、アルバムのトップを飾るアップテンポナンバーがこちらです。
オープニングナンバーに相応しく、Nick Menzaの叩く派手なフィルインが強烈な印象を与えてくれます。
6連符でバスドラムとスネアとタムの連打を絡めたシンプルなフレーズですが、曲のカウント代わりに使用するなんて良いセンスです。
曲調は「So Far, So Good… So What!]に収録されていた[Liar]のリメイクと言っても過言ではないほど酷似しています。
曲展開からヴォーカルのメロディに至るまで、共通点が多く見られます。
ですが、アレンジはこちらの方がはるかにシンプル。
[British Steel]を発表した頃の[Judas Priest]に代表されるNWOBHMに影響を受けたリフワークは、Dave Mustaineのルーツにレイドバックしています。
攻撃的でシンプルなギターリフは何度もリピートしたくなる魅力を放っていますし、Dave Mustaineの歌も着実にメロディを歌えるように成長しています。
従来のテクニカルなアンサンブルを全面に出しているMegadethとは一線を画していますが、普段スラッシュメタルを聞かないリスナーを取り込むには最適です。
また、前作でミックスエンジニアを担当したMax Normanのプロデュースによるドライでスッキリした音作りも魅力です。
80年代のヘヴィメタルとは真逆のアプローチではあるのですが、全ての楽器の音が分離して聞き取りやすくなっています。
ちょうど[Metallica]がセルフタイトルの作品をリリースしたり、[Nievana]や[Alice In Chains]が音楽チャートを騒がせていた時代です。
楽曲のアレンジに寄り添いながらもトレンドに適切に寄り添ったサウンドメイクが功を奏しています。
インテレクチュアルスラッシュメタルからは脱却し、より大衆的になったバンドのスタート地点となりました。
時代を超えて愛される名曲です。
コメント