ハロウィン / ホエア・ザ・レイン・グロウズ (1994)
1984年にドイツで結成されたパワーメタルバンド。
1994年に発表された6枚目のアルバム[Master Of The Rings]の3曲目に収録されています。
スピードメタルに前向きで明るいメロディを融合させ、メロディックパワーメタルが発展する土台を作りました。
1993年に相次ぐメンバーの脱退でバンドは解散寸前でしたが、新メンバーを招いて危機を乗り越えます。
シンガーには[Pink Cream 69]のAndi Deris。
ドラマーには[Holy Moses]や[Gamma Ray]で活躍したUli Kuschが加入します。
ヘヴィメタルから遠ざかっていた音楽性も従来のパワーメタルに戻り、起死回生とばかりに名盤を完成させました。
その中から、特に人気のあるメロディアスでアップテンポのナンバーがこちらです。
新加入のUli Kuschがイントロのドラムソロで早くも存在感を示しています。
オープニングを彩るアクセントの移動や6連符を交えたマーチングのプレイは迫力満点!
それに触発され、Michael WeikathとRoland Grapowのギターも冴え渡っています。
ザクザクとしたヘヴィなリフはもちろん、二人の息を合わせたクラシカルなフレーズまで鮮やかです。
長くドラマチックなギターソロは、ツインリードのハーモニーをたっぷりと聴ける屈指の名演です。
途中で[Pretty Maids]の[Back To Back]のようなフレーズが出てくるのはご愛嬌。
新加入のAndi Derisも早くも実力を見せてつけています。
前任者とは経路の違うハスキーな声は、もの悲しいメロディラインとの相性が抜群。
サビでの希望に満ちた前向きな雰囲気にも違和感がなく溶け込んでいる器用なシンガーです。
派手なプレイが多く、サビでは幾重のコーラスとアコースティックギターまで録音されているゴージャスなアレンジを陰で支えているのが、Markus Grosskopfです。
彼のベースラインはメロディアスによく動くのですが、ボトムのリズムをガッチリと支えているので安定感が抜群です。
リズムとメロディの両方を担当出来る、パワーメタルの界隈でもトップクラスの実力者です。
全てのパートに聞きどこを持たせ、尚且つキャッチーなメロディラインまで兼ね備えています。
作詞をしたAndi Derisによると、脱退した[Pink Cream 69]との訣別と加入したHelloweenの未来への希望を歌ったシリアスな内容とのこと。
彼が歌う通りの、新しく生まれ変わったバンドのトレードマークとなる時代を超えた名曲です。
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