【曲紹介】Slayer / The Final Command

スレイヤー / ザ・ファイナル・コマンド (1983)

1981年にアメリカのカリフォルニアで結成されたスラッシュメタルバンド。
1983年に発表されたデビューアルバム[Show No Mercy]の8曲目に収録されています。

Big4と呼ばれるアメリカを代表するスラッシュメタルの中でも、特にスピードと過激さにこだわった作風でファンから帝王と呼ばれていたバンドです。
当時高校生だったKerry King(Gt)とDave Lombardo(Dr)が意気投合し、Jeff Hanneman(Gt)とTom Araya(Vo/Ba)を誘ってバンドを結成。
[Iron Maiden]や[Judas Priest]、[Venom]のカヴァーを演奏しつつ次第にオリジナル曲を増やしていきます。
1983年初頭に[Bitch]の前座でWoodstock Clubに出演していた際、会場に居合わせたMetal Blade RecordsのBrian Slagelに見出されてコンピレーションアルバムの[Metal Massacre III]に参加。
彼らの楽曲はアンダーグラウンドで話題を呼び、Metal Blade Recordsとアルバムリリースの契約を交わします。
レコーディング資金はメンバーの自腹で捻出した為、音質に難があるにも関わらず前代未聞のアグレッシブな本作は2万枚以上を売り上げを記録しました。
その中から、ブリティッシュメタルからの影響が強いスピードナンバーがこちらです。

まるで[Iron Maiden]の[Transilvania]を高速で演奏したかのようなイントロに驚かされました。
後にスラッシュメタルの帝王と呼ばれた貫禄は微塵も無く、ここにいるのはNWOBHMのムーブメントに夢中になったキッズ達でした。
オーソドックスなブリティッシュメタルを無理矢理テンポを速めて演奏するこのスタイルは、後にスピードメタルとして独自のジャンルとして発展をしていきます。

しかしながら、このハイテンポな演奏はなかなか癖になります。
スピードにテクニックが追いついていないガタガタのアンサンブルではありますが、勢いがあれば全て許される雰囲気が充満しています。
メンバー4人中3人は10代という若さのおかげでしょう。
Tom Araya(Vo/Ba)のヴォーカルスタイルも、時折素っ頓狂なハイトーンシャウトを張り上げたりと微笑ましい限りです。

このバンドの代名詞となった不協和音を多用したギターリフはこの曲では顔を出さず、リフだけ聴けば至ってオーソドックスなブリティッシュメタルです。
ギターソロに至っては、この作品でしかプレイしないようなツインリードのハーモニーまで奏でています。
後年の作品で聴けるアーミングを多用した狂気じみたプレイしか知らないリスナーからすれば、呆気に取られるでしょう。

本格的なスラッシュメタルに舵を切った後の作風とあまりに異なるためか、演奏される機会は皆無でした。
ですがそんな彼らの青臭い歴史を彩る、決して無視などできない隠れた名曲です。

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