【曲紹介】Metallica / Motorbreath

メタリカ / モーターブレス (1983)

1981年にロサンゼルスで結成されたスラッシュメタルバンド。
1983年に発表された1枚目のアルバム[Kill ‘Em All]の3曲目に収録されています。

ヘヴィメタルにおいて最も商業的な成功を手にしたバンドです。
地元ロサンゼルスでLars Ulrich(Dr)とJames Hetfield(Gt/Vo)を中心に結成され、メンバーチェンジを繰り返しながらもアンダーグランドな活動をしていました。
1982年にMetal Blade Recordsが制作したコンピレーションアルバム[Metal Massacre 1]に提供した[Hit The Lights]が話題となり、自主制作デモテープ[No Life ‘Till Leather]をリリース。
1983年初頭にCliff Burton(Ba)を加入させるために活動拠点をサンフランシスコへと移します。
時を同じくして、設立されたばかりのMegaforce Recordsと契約を交わしてデビューアルバムのレコーディングセッションを開始。
その中でドラッグの問題を抱えていたDave Mustaine(Gt)を解雇して(後に[Megadeth]を結成)[Exodus]からKirk Hammett(Gt)を引き抜くメンバーチェンジも行われました。
紆余曲折を経てようやくリリースの運びとなったデビューアルバムは、若さ溢れる初期衝動と凄まじいスピードの楽曲が多くのリスナーの度肝を抜きます。
その中から、デモテープに収録されていたスピードナンバーをリメイクしたものがこちらです。

タムとバスドラムの連打によるメロディックなドラムソロがイントロに追加されており、曲の印象がガラリと変わりました。
ツインバスを操るドラマーならば初歩的とも言える単純なフレーズですが、当時19歳だったLars Ulrich(Dr)の若さと勢い任せのプレイのおかげでインパクトは抜群です。
このフレーズのおかげで、リフの突進力や疾走感がグッと増す結果となりました。

この頃はまだブリティッシュメタルからの影響が強く、至る所にそれが現れています。
[Motorhead]の突進力と[Diamond Head]のソリッドなギターリフを掛け合わせ、可能な限りのハイテンポで演奏するとこうなります。
とにかく全体を支配しているテンションの高さが異常で、音を聞いているだけでスピーカーから汗が飛んできそうです。
高速2ビートをここまで速いテンポで演奏するバンドは、彼らが登場する以前にはおりませんでした。
ヘヴィメタルの常識を覆すアグレッシブなアンサンブルは、後のスラッシュメタルの誕生に大きく貢献しています。

James Hetfield(Gt/Vo)によるIron Maidenをはるかに凌ぐスピードのキャロップカッティングも圧巻です。
ソロプレイでリズムから振り落とされるギリギリのところでバンド全体がインする部分の緊張感は否応にも興奮させられます。

スネアのアクセントにリズムを合わせるメインリフのフィールは[Misfits]からの影響も感じます。
この突進力はヘヴィメタルだけでなくハードコアパンクからも影響を受けているからこそのものでしょう。
攻撃的なサウンドは薬も毒も関係なく食う貪欲さ。
ベテランバンドになるにつれて失っていく、発展途上ならではの初期衝動溢れるアンサンブルは圧巻です。

情熱だけを武器に新しいサウンドに果敢ににチャレンジする姿勢が、見事に音に現れた好例です。
スラッシュメタルの誕生前夜を彩る名曲です。

Metallicaの他の楽曲紹介はこちら!

アルファベット別の記事一覧はこちら!

記事一覧(アルファベット順)
これまで紹介した記事をアーティスト名のアルファベット順で並べています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました