ブラック・サバス / 黒い安息日 (1970)
1968年にイングランドで結成されたハードロックバンド。
1970年に発表されたデビューアルバム[Black Sabbath]の1曲目に収録されています。
重く引きずるようなギターリフでヘヴィメタルの原型を作り上げたレジェンドバンドです。
[Ozzy Osbourne](Vo)が新聞広告に出したメンバー募集がきっかでバンドが結成されライブを行うために[Earth]と名乗ります。
しかし同名のバンドが既に存在することを知り、出来上がったばかりの新曲のタイトルをそのままバンド名にすることしました。
Black Sabbathへ改名後は精力的に活動し、様々な場所で演奏を行なって知名度を上げていきます。
その人気は口コミで広がり、遂には新鋭レーベルであるVertigo Recordsと契約を締結。
デビューアルバムをたったの2日で作り上げました。
これまでにない程ヘヴィで恐怖を与えるサウンドが多くのリスナーに衝撃を与え、本作はなんと全英チャート7位に輝きます。
その中から、バンド名の由来ともなった代表曲がこちらです。
雷鳴と雨音に混じって教会の鐘の音が静かに響く不気味な効果音が流れ、緊張の糸が極限まで張り詰めた頃に強烈なギターリフが飛び出します。
悪魔の音階と呼ばれる3つの不協和音で構成された恐ろしいもので、極端なスローテンポで鳴らされるインパクトは絶大です。
[Ozzy Osbourne]の自伝本によると、初めて人前で演奏した際には観客が一人残らず逃げ出したと記されています。
60年代の常識では考えられなほど邪悪なものだったのでしょう。
呪詛のような歌、這い回る芋虫のようなベースライン、滴り落ちる液体のようなドラム。
アンサンブルの全てが禍々しく感じられます。
まるで暗闇の中から無数の手が伸び、身体中を弄られているかのようです。
Tony Iommi(Gt)はホラー映画に着想を得たと語っています。
ホラー映画好きは、恐怖を体験するために映画に対して喜んでお金を払います。
それならは、自分達はは音楽を使って怖がらせて対価を得ようという発想に至りました。
この判断は見事に成功したわけです。
中盤まではスローテンポ貫きますがですが、後半からガラリと展開が変わります。
一気にテンポアップをするのですが、ここで鳴らされるギターリフがとても秀逸。
後にヘヴィメタルのスタンダードとして用いられるものとほぼ同じです。
後追いで聴いたリスナーは、このリフはこの時代から演奏されていたのかと衝撃を受けるでしょう。
また、Bill Word(Dr)もブラストビートの原型とも言えるプレイをしています。
スネアとライドシンバルの高速連打はジャズでよく用いられていたフレーズですが、ここでの邪悪ギターリフを混ざり合うと印象が全く異なります。
デスメタルやブラックメタルの原型とまで言われた根拠がここでハッキリと示されていることに気付いたカタルシスは言葉では言い表せません。
あらゆる面で、現代のヘヴィメタルのパイオニアとなっている要素が散りばめられています。
開祖として永遠に語り継がれる名曲です。
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