バトル・ビースト / ストレート・トゥ・ザ・ハート (2017)
2008年にフィンランドで結成されたヘヴィメタルバンド。
2017年に発表された4枚目のアルバム[Bringer of Pain]の1曲目に収録されています。
2011年のアルバムデビュー以来着実にファンを増やし続け、前作の[Unholy Savior]は何とフィンランドのアルバムチャートで初登場1位に輝きました。
しかし人気バンドの仲間入りをした矢先、メインソングライターのAnton Kabanen(Gt)が突然バンドを脱退してしまいます。
逆境にも負けず、Janne Björkroth(Key)の兄弟であるJoona Björkroth(Gt)を迎え入れて再始動を図りました。
心機一転と言わんばかりにキャッチーメロディを押し進めた本作は、2作続けてのアルバムチャート1位を獲得します。
その中から、アルバムのオープニングを飾るアップテンポナンバーがこちらです。
煌びやかなシンセを主体としたインパクトのあるイントロは、80年代のヒットソングを意識しているようです。
こういった要素は過去の作品でもメタルサウンドの中にアクセントとして取り入れていましたが、この曲では完全に前面に出ています。
ヘヴィメタルのカラーは大きく薄まり、歌を聴かせるスタイルへと大変身を遂げています。
特に顕著なのが、まるでセッションプレイヤーのようなギターパートです。
ギターリフは弾かずにバッキングに徹し、ソロでも派手さを抑えた堅実でメロディアスなプレイを聴かせています。
ここだけ読むとパワーが落ちたりソフトな音楽性に変わったような気もしますが、心配はご無用。
Noora Louhimoのパワフルな歌は今回も存在感抜群です。
ソウルフルなしゃがれ声で熱唱し、特には豪快なシャウトを聴かせる彼女の声のおかげで骨太なアリーナロックに仕上がっています。
まるで[Bonnie Tyler]を彷彿させるその声は、近年の女性シンガーにおいては類まれなる逸材であることを感じさせます。
デビュー当時のストロングなヘヴィメタルとは全く違った方向性になったことで、ファン層が大幅に入れ替わることは想像に難くありません。
ただ、メインソングライターが脱退したのですから別バンドとして生まれ変わる必然性があるのは当然です。
自分達の愛する80年代のヒットソングへのリスペクトを満遍なく盛り込んだメロディックロックの名曲です。
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