マディソン / 灼熱のランデヴー (1986)
1983年に結成されたスウェーデンのヘヴィメタルバンド。
1986年に発表された2枚目のアルバム[Best in Show]の1曲目に収録されています。
[Europe]と共に80年代初期のスウェーデンのヘヴィメタルシーンを中心となって盛り上げたバンドです。
1984年のデビュー作[Diamond Mistress]は、インディーズレーベルからのリリースながら国内でセールスを上げたことで活動拠点をスウェーデン第2の都市イェーテボリへ移します。
バンドがよりポップで大衆に寄り添った音楽性に変化する中で異を唱えたメインソングライターのDan Stomberg(Gt)が脱退。
後任に当時16歳だったMikael Myllynen(Gt)を迎え、Kazaam Internationaとマネジメント契約を結びます。
カナダのハードロックバンド[Helix]のスウェーデンツアーの前座で各地を回って知名度を上げたバンドは、デンマークの最大手レーベルのSonetと契約をしてコペンハーゲンのスタジオでニューアルバムのレコーディングを行いました。
キーボードの比重が増えてより大衆的なハードポップに転身をした本作は、日本でも積極的なプロモーションが行われてある程度のセールスを記録します。
その中から、特に人気の高いオープニングナンバーがこちらです。
ギターを主体としたサウンドだった前作とはうって変わって、歌とシンセを主体としており、ヘヴィメタルとしてのカラーは希薄になりました。
同年に[Europe]が発表し、世界中で空前絶後の大ヒットを記録したThe Final Countdownを意識したのでしょうか。
ギターは後ろに引っ込んだミックスとなっており、プレイも控えめです。
前作までのMadisonのスタイルを期待したファンの望んだものとは方向性が明らかに違うものが出来上がりました。
とはいえ、期待外れかと言えばそうではなく、水晶のように透き通ったこの地域特有のメロディアスな楽曲に仕上がっております。
それを如実に演出しているのが、バンドの顔でもあるシンガーであるGöran Edmanです。
彼のマイルドで線の細いハイトーンは、日本のファンの間では[Mr.北欧ボイス]と呼ばれて親しまれており、楽曲の持つ哀愁をこれ以上なく増幅させています。
特徴の強い線の細いマイルドなハイトーンボイスは、この楽曲の持つ甘くロマンチックな雰囲気をとても上手に演出しています。
特に絞り出すような声で苦しそうに歌うサビなどは、モヤのかかったような音質と相まってどこか神秘的で、この曲にはこの声しか有り得ないとまで言わしめる説得力があります。
後に北欧メロディアスハードロックと呼ばれて日本でも人気を博したジャンルの雛形がここにあります。
数々のバンドを渡り歩くGöran Edmanにとっての本当のスタートラインです。
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