【曲紹介】Possessed / The Exorcist

ポゼスト / エクソシスト (1985)

1983年にカリフォルニアのサンフランシスコで結成されたデスメタルバンド。
1985年に発表されたデビューアルバム[Seven Churches]の10曲目に収録されています。

フロリダの[Death]と共にデスメタルの創始者として語られることの多い伝説のバンドです。
結成後は幾度かのメンバーチェンジを繰り返した後にラインナップが固まり、1984年にデモテープの[Death Metal]を発表。
邪悪で混沌とした音楽性がアンダーグラウンドのシーンで話題となり、Metal BLade Recordsとの契約を持ちかけられます。
ちょうどLarry Lalonde(Gt)のガールフレンドの母親が大手銀行の取締役を務めていたため、彼女をマネージャーに契約を締結。
こうして発売された記念すべきデビューアルバムは、デスメタルのプロトタイプとして永きに渡って愛される名盤となりました。
その中から、アルバムのオープニングを飾るスピードナンバーがこちらです。

楽曲の元となったホラー映画[The Exorcist]のテーマソングがしばらく流れた後に飛び出してくるのは、まるで魑魅魍魎が闊歩する地獄のような恐ろしいサウンドでした。
凄まじい勢いで繰り出される邪悪極まりないギターリフ。
ヴォーカルとギターに過剰にリバーブをかけて混沌とした雰囲気を演出するサウンドプロダクション。

何より驚かされるのが、Jeff Becerra(Vo/Ba)が発する獣のような咆哮です。
当時のスラッシュメタル界隈では濁声で吐き捨てるスタイルはあれど、まるで嘔吐しているかのような発声は前代未聞でした。
彼の歌い方を真似たフォロワーたちがデスメタルを作り上げて行くことからも、まさにパイオニアと言っていいでしょう。

そして、嫌でも耳に残るのがMike Sus(Dr)のテンポキープの概念を粉々に破壊する強烈なドラミングです。
淡々とビートを刻んでいるかと思えばフィルインのタイミングで一気に前に飛び出し、そこから急ブレーキをかけるように他の楽器に無理やり合わせるスタイルはリズム楽器の常識を覆します。
エンジンとブレーキを交互に全力で踏み込む車に乗せられている感覚と言えば伝わりやすいでしょうか。

これだけ聞くと破茶滅茶で収集がつかないようにも思えますが、そこを上手く取り持っているのがMike TorraoとLary LaLondeです。
[Joe Satriani]からのレッスンで培ったギターテクニックは光るものがあります。
中間部分のメロディアスなトレモロフレーズなどは、後のブラックメタルにも影響を与えているのでは無いでしょうか?
エクストリームメタルのスタンダードナンバーとして末長く愛されている要因は、間違いなくこのフレーズのおかげでしょう。

また、当時はメンバーの若さも話題になりました。
最年長のMike Torraoが20歳、最年少のJeff BecerraとLarry Lalondeに至っては16歳になったばかりの高校生です。
彼らが学校に通わなければいけないのでリリースツアーに出られなかったという逸話は有名でした。

同世代の後輩たちが数年後、このスタイルを発展させて世界中でデスメタルのムーブメントを作り上げます。
[Cannnibal Corpse]をはじめ、様々なバンドにカヴァーされ続けている歴史的名曲です。

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