【曲紹介】Nocturnal Rites / Destiny Calls

ノクターナル・ライツ / デスティニー・コールズ (1999)

1990年にスウェーデンで結成されたヘヴィメタルバンド。
1999年に発表された3枚目のアルバム[Sacred Talisman]の1曲目に収録されています。

北欧らしい哀愁漂うメロディックなサウンドで人気を集めるベテランバンドです。
デスメタルバンドとしてスタートしましたが、デビューアルバムをレコーディングする頃には[Helloween]直系のメロディックパワーメタルへと音楽性を転換。
1997年に自主制作でレコーディングを行った前作の[Tales of Mystery and Imagination]がTOY’S FACTORYからの配給で日本限定でリリースされると人気が沸騰。
翌年にはCentury Mediaからの配給でヨーロッパ全土でもリリースとなり、認知を広げることに成功しました。
[Overkill]と[Angel Dust]とのカップリングツアーを行って経験を積んだバンドは、初めての大手レーベルからのサポートを受けてのレコーディングを開始します。
オリジナルメンバーのUlf Andersson(Dr)とOwe Lingvall(Dr)と交代するメンバーチェンジがありましたが、完成した本作はメロディックパワーメタルのマスターピースとして愛される名盤となりました。
その中から、大仰なメロディが強烈なバンドの代表曲がこちらです。

デビューから2作は自主制作の為、楽曲はキャッチーながらもいかにもアマチュアの雰囲気が全体を支配していました。
ですが、ここにきて遂に空を破ることに成功。
レーベルのバックアップでプロデューサーやエンジニアが当てがわれ、音質面で格段にパワーアップを遂げました。

イントロでギターが奏でるメロディラインを聴いたリスナーの多くは目を見開いて感動の渦に包まれるか、または強烈な拒否反応を示すでしょう。
演歌や昭和歌謡にも通じる気恥ずかしさ纏った演出過剰なメロディです。
好き嫌い関係なく、一度聞いたら脳に焼き付いて離れません。

Anders Zackrisson(Vo)のパフォーマンスも前作までとはうって変わって驚くほど音程が安定しました。
[Gotham City]のフロントマンとして80年代から活動しているベテランですが、初めてのツアーで場数を踏んだことで目覚ましい成長を遂げたことがよくわかります。
[Europe]のJoey Tempestにも似たマイルドな声の持ち主で、自身の出しやすいキーを理解して決して声を張り上げません。
地声で丁寧に歌うスタイルはメロディックパワーメタルと相性が良くないように思えますが、この曲の朴訥としたメロディラインとの相性が抜群です。
サビでのよく伸びるハイトーンは無理のない自然な響きで、優しく包み込んでくれる安心感すら覚えました。

アレンジの構築も絶妙で、Aメロからサビにかけて綺麗な曲線で盛り上がるように計算されています。
中音域をメインに穏やかに歌い始め、Bメロで徐々に盛り上がった後に爆発を起こすサビは素晴らしい開放感。
1988年に[Helloween]が[Eagle Fly Free]
で完成させた、明るく前向きなサビを持つスピードナンバーの雛形を丁寧になぞっています。

特に、サビの直前でブレイクした後のドラムの一撃は強烈!
使いどころを間違えると耳を塞ぎたくなるほど滑稽に聴こえる諸刃の剣なのですが、この曲においては最高のアクセントとなっています。
これがあるからこそ勢いよくサビに入ることができるので、新加入のOwe Lingvall(Dr)は本当にいい仕事をしました。

大袈裟でわざとらしい様子のことを”クサい”と表現します。
そういったメロディは隠語で『クサメロ』と、クサメロを持つヘヴィメタルは『クサメタル』と呼ばれて親しまれています。
この曲こそ、鼻が曲がるという表現が相応しいクサメタルの真骨頂とも言える名曲です。

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