【曲紹介】Anthrax / Gung-Ho

アンスラックス / ガング・ホー (1985)

1981年にニューヨークで結成されたヘヴィメタルバンド。
1985年に発表された2枚目のアルバム[Spreading the Disease]の9曲目に収録されています。

スラッシュメタルの創世記から活動を始めた[Metallica]、[Megadeth]、[Slayer]と合わせてスラッシュメタル四天王と呼ばれているバンドです。
デビュー作の[Fistful of Metal]を発表し、精力的なリリースツアーを回る間にメンバーチェンジが勃発します。
メンバー間の確執が原因でDan Lilker(Ba)が解雇され、後任にはCharlie Benante(Dr)の甥にあたるFrank Bello(Ba)が加入。
編成を新たにニューアルバムのレコーディングを開始するタイミングでレーベルから歌唱力のあるシンガーを入れるように圧力がかかり、Neil Turbin(Vo)もお役御免となります。
最終的にはプロデューサーである[The Rods]のCarl Canedyが見つけてきたJoey Belladonnaがシンガーとして加入。
レーベルのMagaforceがIslamnd Recordsからの配給となったことでバンドはメジャーデビューを果たします。
スラッシュメタルの歴史に残る名盤となった本作から、フルスピードで疾走するナンバーがこちらです。

曲の最初から最後まで激しいツインバスの連打がひたすら踏み鳴らされ、有無を言わせないテンションで突き進みます。
まるでオーソドックスなヘヴィメタルを1.5倍速で演奏したような強引さがたまりません。
度重なるツアーで見違えるほどの成長を遂げて整合感のあるアンサンブルが活きるアレンジが多く施されている本作において、珍しく前作の雰囲気を多分に残しています。
それもそのはず、この曲は[Armed and Dangerous]と共にDan Lilker(Ba)とNeil Turbin(Vo)が脱退前にScott Ian(Gt)と共に作曲しているからです。
前作の作風は、彼ら2人がイニシアチブを握っていたことがよくわかります。

この曲を個性豊かなものにしているのは、何を隠そう新加入のJoey Belladonnaです。
元々は[Elf]のメンバー達とローカルなブルースロックをプレイしており、ヘヴィメタルを歌った経験はありませんでした。
声質もストレートで癖の無いハイトーンで、スラッシュメタルのシーンにはいないタイプのシンガーです。
ジャンルに合わせて歌い方を合わせていくシンガーも多い中、彼の場合は自分のスタイルを曲げませんでした。
なんとこの慌ただしい曲調にメロディラインをつけてそれを丁寧に歌い上げたのです。
勇気のある行動ですが、持ち前の圧倒的な歌唱力で周りを納得させました。

また、リズムの心地よい揺れも魅力です。
レコーディングはメトロノームを使って一定のテンポで行うことが多いのですが、この曲はそれを使わずに全員で一斉に演奏する方法で録音されています。
そのため、曲の盛り上がりに合わせてテンポが速くなったり遅くなったりしています。
決してテンポの乱れなどではなく、緩急と呼べる程度に感じられるのはバンド全体でリズムを共有しているからこそ。
この一体感がAnthraxの強みです。

個人的に、Charlie Benante(Dr)のドラムテクニックには圧倒されるばかりです。
[Slayer]のDave Lombardoが驚異的な高速ドラミングで脚光を浴びる1年前に、これだけのスピードでプレイしたドラマーは見当たりません。
瞬間的なスピードだけではなく、それを持続する持久力も凄まじいものを感じました。

この後バンドはハードコア色を強めた独自の路線にシフトしていきます。
そうなる前の、スピードメタルをプレイしていた時代のラストを飾る名曲です。

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