【曲紹介】LUNA SEA / IN FUTURE

ルナシー / イン・フューチャー (1994)

1989年に神奈川県秦野市で結成されたロックバンド。
1994年に発表された4枚目のアルバム[MOTHER]の7曲目に収録されています。

派手なメイクと耽美な世界観で、ヴィジュアル系と呼ばれるスタイルを浸透させた代表的なバンドです。
インディーズでの活動をしている時代から数々のライブハウスの動員記録を破る人気を誇りましたが、1992年にメジャーデビューしてからはホールを満員にするほどのバンドへと成長を遂げます。
音楽面でも一つのブレイクスルーを迎え、1994年にはシングルでのヒットを連発。
[ROSIER]は初登場3位のロングヒット、[TRUE BLUE]に至ってはタイアップ無しで初登場1位を獲得しました。
それらの楽曲を含むニューアルバムは、これまで3作とは異なる新しい出発点として気持ちを新たに製作。
メンバーのSUGIZO(Gt)からも「バンドマジックが生まれた」作品に仕上がったと充実した内容となったバンドの代表作となりました。
その中から、最もテンポの速いダークなナンバーがこちらです。

ハードコアからの影響が大きい切れ味の鋭いギターリフはインパクト絶大。
楽曲の中で幾度も繰り返され、リスナーの心に強烈に焼き付きます。
真矢(Dr)の叩き出すドラムパターンも基本的にはこのリフとユニゾンするように作られており、一丸となって押し寄せてくるアンサンブルはバンドの一体感を強く表しているようです。

要所で響く無機質なシーケンスパターンと、感想で豪快に飛び出すシンセのソロはインダストリアルからの影響でしょうか。
サポートメンバーでマニュピレーターとして参加した菊地大輔によるもので、彼の作り出すモノクロの近未来をイメージさせる演出は見事です。

RYUICHI(Vo)の声にも深くエフェクトをかけ、オクターブ下でメロディを重ねたりと実験的な要素が目白押しです。
歌詞も漢字とカタカナで表現するなど人間味をとことん薄めています。

細かいアレンジにも光るセンスを感じました。
イントロのリフは3小節で1セットとなる個性的な譜割りですが、ヴォーカルが入ると4小節で1セットのポピュラーミュージックではスタンダードなものに変化します。
変化があまりに自然であるため、一聴しただけでは気がつきませんでした。

この高速ビートの中でシンコペーションを多用するリズムセクションも巧みです。
小節をまたいで強いアクセントが加わることで横面を殴られたような衝撃が加わりますが、一拍の長さをコントロールしないとテンポが揺れる双刃の剣。
そこを鉄壁のリズムで見事にまとめるJ(Ba)の手腕がここでも活きています。

卓越したアンサンブルを武器に退廃的な世界が上手く表現できており、一つ先の時代に足を踏み入れたと感じさせます。
シングルカットはされませんでしたが、ライブでは人気のある隠れた名曲です。

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