【曲紹介】Metallica / Battery

メタリカ / バッテリー

1981年にロサンゼルスで結成されたスラッシュメタルバンド。
1986年に発表された3枚目のアルバム[Master of Puppets]の1曲目に収録されています。

ヘヴィメタルのシーンにおいて最も商業的な成功を手にしたバンドとして知られています。
1983年の衝撃的なデビューから目覚ましい快進撃を続け、前作の[Ride the Lightning]が大絶賛を浴びたことでメジャーレーベルのElektra Recordsとの契約を獲得。
十分なバックアップを元に製作された本作は、バンドを代表する名盤となったばかりか全米チャートで29位を記録。
スラッシュメタルとカテゴライズされる作品としては歴史的な売上を誇る作品に仕上がりました。
その中から、バンドの代表曲として多くのファンを熱狂させ続けているスピードナンバーがこちらです。

ハイテンポで攻撃的なサウンドはそのままに、抒情性やドラマチックな展開を大胆に取り入れたサウンドは他のスラッシュメタルバンドとは一線を画します。
これは、音楽的イニシアチブを握っていたCliff Burton(Ba)によるプログレッシブロックやクラシックのエッセンスによるものです。

ダークでメランコリックなアコースティックギターのソロから歪んだツインリードのメロディックなイントロに移行する展開は、これまでのバンドのイメージを覆すほど壮大なものです。
一体これから何が始まるのかと期待で胸がいっぱいになります。

そこから繰り出されるのは、これまでのどの曲よりもハイテンポでザクザクと刻まれる必殺のギターリフ。
James Hetfieldの強靭な右手から繰り出されるシュレッドは切れ味抜群であり、リスナーの頭を激しく揺さぶることでしょう。
過去最高の攻撃性を持ったスラッシュナンバーです。

ですが、それだけではここまで時代を超えた名曲の評価は得られなかったでしょう。
この曲には様々な工夫が凝らされています。

細かいビート変化がその代表例です。
スラッシュメタルはドタドタした2ビートを中心に展開するのですが、パートが変化する際には必ず一瞬だけビートを半分にしてギアチェンジをしたようなスピード感を演出しています。
イントロから歌が入る瞬間などがその代表例と言えるでしょう。
ギターソロに入る直前のエネルギーを溜めて一気に解放させるパートなどは、細部まで計算し尽くされた名演です。

そして、明確なメロディラインがある部分も個性が光っています。
スラッシュメタルにメロディラインを導入する方式は前年から[Anthrax]が既に行なっていますが、ここまでキャッチーでわかりやすいものではありませんでした。
リズム楽器の延長で、歌詞を打楽器のように発生するスタイルが主流だったスラッシュメタルに新しい風を吹き込んだと言っても過言ではありません。

様々な実験的要素が混ざり合い、遂にはヘヴィメタルを代表する名曲を作り上げました。
メジャーデビュー間もない若者達が、世界を制覇する第一歩を踏み出したマイルストーンです。

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