【曲紹介】Uriah Heep / July Morning

ユーライア・ヒープ / 7月の朝 (1973)

1969年にイングランドで結成されたハードロックバンド。
1971年に発表された3枚目のアルバム[Look at Yourself]の3曲目に収録されています。

[Led Zeppelin]、[Deepe Purple]、[Black Sabbath]と並んでブリティッシュハードロックを代表するベテランバンドです。
1970年にアルバムデビューを果たし、重厚なオルガンサウンドとプログレッシブロックにも通じる複雑なアレンジが話題となりました。
前作の[Salisbury]発表後にKeith Baker(Dr)が脱退して[Cressida]のIain Clark(Dr)が加入するメンバーチェンジがありましたが、[Three Dog Night]と[Steppenwolf]のサポートアクトとして初の全米ツアーを経験します。
1971にはGerry Bronの立ち上げた振興レーベルBronze Recordsへと移籍し、より自由な環境でのニューアルバムのレコーディングを開始。
バンドの方向性を決定づけるバンドの最高傑作と絶賛するファンも多くいる名盤を作り上げました。
その中から、10分を超えるプログレッシブな大曲がこちらです。

70年代のハードロックやプログレッシブロックには長尺の楽曲が数多くありますが、その中でも屈指の人気を誇るバンドを象徴する代表曲です。
組曲形式で曲が展開していくアレンジがなされており、長いながらもリスナーを退屈させない工夫は見事の一言。

穏やかな朝を伝えるようなオルガンのアルペジオから始まり、ハードロックバンドらしい大爆音の激しいアンサンブルが繰り広げられます。
1分ほどの長いイントロが終わると、ここからヴォーカルの登場です。
静かなオルガンのバッキングと一緒に英国紳士の気品漂うDavid Byronの超美声が響き渡ります。
この哀愁漂うメロディラインが絶品!
日本人の琴線にビンビン響いてくるんです。

サビでの美しいコーラスワークも、このバンドの大きな特色です。
まさに、これぞブリティッシュロック!
Queenにも影響を与えた部分です。

ただ、ただ美しいだけの楽曲ではありません。
クラシカルなオルガンソロが終わったあたりから徐々に徐々に仮面が外れていく様子が伺えます。
サビが転調を繰り返し、David Byronの気が狂ったようなシャウトが合図!
まるで悪魔が飛び出てきそうなほど邪悪なリフが流れてきます。
そう、これがこのバンドの本性だ!

その後、何事も無かったかのようにAメロの美しいメロディが再び流れますが、もう騙されません。
これは静かな狂気です。
内に秘めた激しい狂気です。
7月の朝、一人の狂った男が静かに佇む一コマです。

ラストは4分間、例の邪悪なリフがぶっ通しで流れます。
バックのアンサンブルは徐々に激しくなっていき、シンセのソロは収集がつかないほど大暴れです。
カオスをこえて終末が近づく…
ファイナルファンタジーVIでの有名な一節ですが、まさにこれです!
カオスの終わりを見届けることなく、曲がフェードアウトしていき終了します。

聴き終わった後は、とてつもない曲を聞いてしまったと妙な疲労感を覚えるでしょう。
そしてその狂気に触れてみたい好奇心から繰り返し再生をしてしまうかもしれません。

これぞブリティッシュハードロック史に残る超名曲!
一度は触れておきましょう。

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