【曲紹介】Alice Cooper / House Of Fire

アリス・クーパー / ハウス・オブ・ファイア (1989)

1964年から活動を始めたデトロイト出身のロックシンガー。
1989年に発表された18枚目のアルバム[Trash]の3曲目に収録されています。

音楽活動にとどまらず、俳優としての活動でも知られるマルチタレントであり、アメリカでは知らない人は居ないほどのスーパースターです。
70年代はカルトな人気を誇っていた彼も、80年代に入ると時代の流れには抗えず人気が低迷。
そこで、音楽性を当時メインストリームだったヘヴィメタルへの転向を決意。
派手さとテクニックを持ち合わせていたミュージシャンたちを起用したことで人気は徐々に回復し、前作の[Raise Your Fist and Yell]はスウェーデンのアルバムチャートで15位まで上昇します。
そこで、本国アメリカでの再起を賭けて[Bon Jovi]や[Aerosmith]等、多くの著名アーティストに楽曲提供をしてきたDesmond Childをプロデューサーに迎えます。
Steven Tyler、Jon Bon Joviをはじめ豪華ゲストを迎えて制作された本作は、Billboardチャートで20位に輝く代表作となりました。
その中からDesmond Childと[The Runaways]の活動が有名なJoan Jettが共作したヒットシングルがこちらです。

イントロでのシンガロングからわかるように能天気なパーティーロックとなっており、過去のAlice Cooperの面影は殆どありません。
流行に乗るにしても、ここまで大胆な返信を遂げてくれれば清々しさすら感じます。

レコーディングのゲストには[Aerosmith]のJoe Perry(Gt)が招かれており、短いながらも独特のリズムで捩じ込むようなフレーズを披露してくれています。
百戦錬磨のセッションミュージシャンであるJohn McCurry(Gt)の丁寧なプレイとは対をなしており、実に彩りのあるコントラストが感じられます。
どちらが引いているのか、これほど容易に区別ができるのも珍しいのではないでしょうか。

バックの演奏は実に堅実。
Hugh McDonald(Ba)とBobby Chouinard(Dr)の鉄壁のリズムセクションはパワフルながらも寸分狂わぬ正確さで生きたリズムマシンかと錯覚させられます。
Alice Cooperも過去最高だと大絶賛した布陣がこの1作で終わったのは残念でなりません。

骨太でシンプルなアレンジに乗せて飛び切りキャッチーなサビに移行するあたりは、[Bon Jovi]がヒットさせた名曲の数々との共通点が感じられます。
それもそのはず。
この曲は元々は[Bon Jovi]が1988年に発表する予定だった2枚組のアルバムに収録予定されるはずでした。
ですがレーベルから販売価格高騰を防ぐために1枚組で発売しなければならず、泣く泣く収録が見送られたのをレコーディングしたものです。
似ているのも当然と言えば当然です。
ちなみに、その[Bon Jovi]のアルバムが[New Jersey]というのはマニアの間でも有名なお話。

こういう歴史を辿っていくと、埋もれかけた曲を救い出すストーリーには思わず胸が熱くなります。
多くの人の情熱を持って救い出された名曲です。

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