【曲紹介】Sword / Evil Spell

ソード / イーヴル・スペル (1986)

1981年にカナダで結成されたヘヴィメタルバンド。
1986年に発表されたデビューアルバム[Metalized]の10曲目に収録されています。

パワーメタルにも迫るアグレッシヴなサウンドの中にメロディアスな旋律を盛り込んだスタイルがマニアの間で話題となったバンドです。
ヘヴィメタルのムーブメントに乗って地元のインディーズレーベルであるAquarius Recordsと契約を結び、アルバムの発売に漕ぎ着けました。
力強いリフ、耳に残るメロディ、卓越した演奏力の三拍子揃ったヘヴィメタルの理想系とも言える作品は多くのファンを魅了し、[Alice Cooper]、[Motorhead]、[Metallica]等ビッグネーム達のツアーにおいてサポートアクトに起用されました。
その名盤から、アルバムのラストを飾る邪悪な雰囲気満載のヘヴィナンバーがこちらです。

タイトルのEvil Spell(呪い)を見事に表現している、緊迫感満載のホラーなギターリフがとても印象的であり、ミドルテンポながらも非常にアグレッシヴな曲調や、シンガーの声質からはDavid Wayne在籍時の[Metal Church]が真っ先に思い浮かびます。

そのDavid Wayneにも声を持つシンガーのRick Hughesが、この曲では表現力に長けた驚異的なパフォーマンスを披露しています。
冒頭やサビでの金切り声を上げるパワフルなシャウトから、呪術を詠唱するかのようなダミ声の低音まで自由自在に使いこなして楽曲をドラマチックに彩るスタイルは、この手の歌唱法のパイオニアである[Mercyful Fate]の[King Diamond]にも肉薄します。
ダークなヘヴィメタルを歌うにあたって、ここまでハマるシンガーとは滅多に出会えません。

シンガーが素晴らしければ、ボトムを支えるドラムもよく聞くと魅力に溢れるプレイをしています。
どっしりとした安定感のあるプレイでありながら手数が多くシンコペーションを多用したカラフルなプレイは、まるで吹き荒れる嵐のよう。
同じカナダの先輩バンドである[Anvil]のRobb Reinerからの影響も感じられる名演です。
インディーズからのリリースである為にガシャガシャと散らかってクリアではない音質も、この曲の持つ不気味さを増幅させる役目としてプラスに働いています。

カナダのヘヴィメタルの歴史を語る上では避けては通れません。
日本においてはマイナーな存在ではありますが、隠れた名曲としてマニアの間で語り継がれるに値する名曲です。

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