ファイアーウインド / ブロークン (2010)
1998年にギリシャで結成されたヘヴィメタルバンド。
2010年に発表された6枚目のアルバム[Days of Defiance]の7曲目に収録されています。
ギリシャを代表するギターヒーローであるGus.Gが率いることで知られているバンドです。
メンバーは流動的ながらも、コンスタントにアルバムのリリースとツアー活動を続けて世界レベルでの人気を高めていきます。
2009年には中心人物のGus.G(Gt)が[Ozzy Osbourne]のギタリストに抜擢される目覚ましい出世を果たしますが、バンドは並行して活動の継続を決意。
前作と同じラインナップでのレコーディングを開始します。
レコーディング終了直後に、Mark Cross(Dr)が脱退をしますが[Metalium]のMichael Ehréが加入。
こうして発売された本作は、バンドとしては初めてBillboard Top Heatseekersで36位にランクインしてアメリカでの人気獲得に成功しました。
その中から、抒情的なメロディが魅力的なバラードがこちらです。
アコースティックギターの音色でメランコリックに奏でられるイントロから一気に引き込まれます。
チョーキングでの胸が締め付けられそうな哀愁が強烈で、ここだけでGus.Gの卓越したギターテクニックを堪能できます。
サビではヘヴィになるアレンジのパワーバラードであり、ヘヴィメタルのアルバムにはよくあるタイプの没個性な曲ではあります。
Apollo Papathanasio(Vo)の安定した無難な歌唱と、リズムセクションのアンサンブルに徹したシンプルなプレイ。
一歩間違えば何の印象も無く聞き流すような曲になってしまうでしょう。
ですが、Gus.Gのプレイが要所に入るだけでそこがフックになってリスナーを飽きさせません。
ギターソロではイントロのフレーズをなぞりながらも、エレキギターのロングトーンを生かして絶妙なディレイとビブラートで感情豊かに表現しています。
特に後半部分のエモーショナルな盛り上がりは絶品で、強引な速弾きは使わずにシンプルに徹するプレイは見事という他ありません。
ライブで演奏される機会は滅多に無く、相当地味な部類に入るのでファンの間でも話題に上がることは殆どありません。
ですが、哀愁溢れるメロディを愛するリスナーならばつい耳を傾けてしまうであろう隠れた名曲です。
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