インペリテリ / ロスト・イン・ザ・レイン(1987)
1987年にロサンゼルスで結成されたヘヴィメタルバンド。
同年に発表されたデビューEP[Impellitteri]の1曲目に収録されています。
車の世界でも、野球の世界でも、陸上競技でも、誰が一番速いかは常に人々の関心となります。
ギターの世界でもそう!
80年代には誰が一番速く弾けるかを競う、まるでオリンピックのような早退きムーブメントがありました。
その熾烈な争いに終止符を打ったギタリストのChris Impellitteriを中心に結成されたバンドです。
あのYngiwieよりもギターを速く弾く男として、常識外れのスピードでギターソロを繰り出し、孤高の存在として君臨しております。
そんな彼がアメリカンメタルシーンでも指折りのシンガーであるRob Rockとタッグを組んだ記念すべき最初の作品のオープニングを飾るナンバーです。
この曲での彼のプレイは、本当に壮絶そのもの!
構成も緩急も関係なくアクセル全開で音を限界まで詰め込んだギターソロには、口をあんぐり開けて呆れることしかできません。
よくもまあ、ここまでやろうと思ったものです。
ですが、テクニックをひけらかしている印象は全く感じられません。
おそらくですが、速く弾こうとしているわけではないと思うんです。
自分持てる力を全力で曲にぶつけたら、結果的に驚異的なスピードのプレイが生まれただけじゃないかと思うんですよね。
楽曲全体に漂う熱量がそう感じさせます。
そして、ギターに負けじと凄まじいハイトーンボイスを聴かせてくれるのがシンガーのRob Rockです。
この人も実は超人。
どれだけのロングトーンでもパワーが全く落ちない極太レーザーのような声は、楽曲の魅力を引き立てることに一躍買っています。
正直に言うと、この曲が名曲として語られるのはこの人のおかげです。
やはり歌ですよ。
ギターだけだと「はいはい、すごいね」で終わってしまうのですが、彼の凄まじいパワーを持った声のおかげで曲の印象がまるで違います。
インディーズレーベルの宿命である低予算レコーディングのため、音質は非常にこもっていますし曲のアレンジも練られておらずに一本調子です。
ただ、それをねじ伏せるパワーがここにあります。
この曲を聴かずして速弾きギターソロを語ることなかれ!
必聴です!
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