【曲紹介】Muse / Stockholm Syndrome

ミューズ / ストックホルム・シンドローム (2003)

1994年にイングランドで結成されたオルタナティブロックバンド。
2003年に発表された3枚目のアルバム[Absolution]の5曲目に収録されています。

オルタナティヴロックにヘヴィメタルやエレクトロニカ等をミックスさせ、独自の音楽性でグラミー賞を何度も受賞しているモンスターバンドです。
デビューと同時に[Stone Roses]や[Radiohead]をイメージさせる作風で注目を浴び、前作の[Origin of Symmetry]は全英チャートで3位を記録して一躍人気バンドの仲間入りとなりました。
それに続く本作は、静と動のコントラストを極限まで高めたプログレッシヴロックにも似た雰囲気が人気を博し、全英初登場1位を獲得したばかりか、全米でもプラチナディスクを獲得します。
最終的には世界で300万枚以上を売り上げてMuseの人気を決定づけたモンスターアルバムの中から、アグレッシヴなギターワークの光るバンドの代表曲がこちらです。

メタリックで緊張感溢れるギターリフに手足のコンビレーションを合わせた強烈なドラムフィルインが重なるイントロは、この曲の最初の聞きどころです。
余計な贅肉を削ぎ落とし、たった二つの楽器だけで織りなす跳動感のあるリズムが芯となって大きな楔を打ち込みます。
その鉄壁のボトム部分にゴリゴリと入り込んでいくベースは、まるでリード楽器のようです。

3ピースの特性を活かし、三位一体で火花を散らすアンサンブルの中に飛び道具のように斬り込むのが、[Radiohead]のThom Yorkeに影響を受けた怪しげなファルセットボイスです。
この場違いとも言える線の細い声が、不思議な化学反応を起こしてバンドの唯一無二の個性となっています。

曲構成においても、静と動のコントラストをコンセプトとして掲げている通り、練りに練り込まれています。
通常は最も盛り上がるであろうサビを半分のビートに落とし、イントロへの繋ぎ部分で一気にテンションを爆発させるアレンジは[Dream Theater]からの影響も見られるブログレッシブなアプローチです。

この閉塞感と開放感が交互に訪れる展開は、ジェットコースターに乗っているかのようです。
空高く舞い上がり、一気に地面に叩きつけられる直前で寸止めのように体が浮き上がるスリルに溢れた感覚は味わえます。

ヘヴィメタルの激しさと、オルタナティブロックの浮遊感に斬新な曲展開を織り込んだこの曲は、ライブのセットリストに欠かせない存在となりました。
ジャンルを超越したヘヴィミュージックのマスターピースです。

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