グローリー / ディス・イズ・ザ・ラブ (1989)
1988年にスウェーデンで結成されたハードロックバンド。
1989年に発表されたデビューアルバム[Danger In This Game]の4曲目に収録されています。
演奏力の高さとトリプルリードギターの白熱するソロの応酬によりスウェーデン国内で人気を博した[Glory Bell’s Band]が前身となっているバンドです。
所属レーベルとのトラブルによりバンドが解散に追い込まれ、リーダーであるGlory North(Vo)のソロプロジェクトとして再始動。
しかし、Glory Northが脱退したことによりバンド名を短くGloryと改めて正式なデビューを果たします。
音楽性もガラリと変化しました。
70年代のブリティッシュロックからの影響はほとんど消え、日本人の持っている北欧メタルのイメージを具現化したかのような透明感のあるメロディアスなものになりました。
特にその傾向が顕著で、ファンの中でも人気の高いアップテンポのナンバーがこちらです。
イントロで鳴り響く煌びやかなシンセのサウンドを聴けば、この手の音楽のマニアならば北欧メタルの魅力を再認識をするでしょう。
間違いなく、[Europe]の世界的な成功を意識したことがわかる、シンプルでキャッチーなアレンジです。
ギターはリフを弾かずバッキングに徹していますし、リズムセクションも派手なプレイは一切せずにボトムを支えています。
全てはメロディを聴かせる為だと割り切っている潔いプレイです。
シンガーは線が細いながらも感情豊かに歌い上げるタイプなので、テンポが速くてもヘヴィメタルらしい激しさは殆ど感じられません。
ですが、ギターソロに入った途端に雰囲気が一変します。
ここからが自分の見せ場だとばかりに[Europe]の[The Final Countdown]と[Yngwie Malmsteen]の[Rising Force]をミックスしたようなクラシカルなソロが始まります。
強引な速弾きはあまり見せずに一つの音を非常に丁寧に弾いているので、押し付けがましさは皆無です。
曲の一部としてまるで『作曲』をしたかの錯覚を覚えるほど構築されたソロです。
更に、インパクト絶大なのピアノソロまで存在まします。
ドラムのビートだけ残して本当にピアノだけがソロを行うアレンジは、ハードロックにおいては非常に斬新です。
クラシカルな旋律が強調された上品なアレンジは、これだけ強烈な印象を残します。
シンプルなアレンジと言えど、元々はテクニックを売りにするバンドに在籍していたメンバー達。
要所要所で自慢の腕前を披露しています。
特にラストでギターとシンセが高速でユニゾンするパートは難易度の高いプレイで、これ程のスピードだと綺麗に合わせるのは困難です。
そこを嫌味なく自然な感じでアレンジに組み込むセンスは流石！
数ある叙情的な雰囲気漂う北欧メタル中でも、最高峰に位置する名曲です。
これから北欧メタルに触れようと考えているリスナーにも、入門用として強くお勧めいたします。
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