【曲紹介】Victory / The Hunter

ヴィクトリー / ザ・ハンター (1985)

1984年にドイツで結成されたハードロックバンド。
1985年に発表されたデビューアルバム[Victory]の1曲目に収録されています。

骨太なハードロックサウンドが80年代に世界的な人気を博したバンドです。
1984年に解散した[Fargo]のメンバー達によって結成されました。
シンガーの座には[Ted Nugent]や[Gary Moore]との活動で知られるCharlie Huhn(Vo)が合流。
Rudolf Schenkerからの紹介で[Scorpions]や[Aerosmith]のマネジメントをしていたDavid Krebsと契約を締結することに成功します。
彼の優れた手腕によって結成翌年にはCBS Recordsより全米デビューを果たしました。
センセーショナルなジャケットが話題を産んだ力作から、アルバムのオープニングを飾る軽快なシャッフルナンバーがこちらです。

リズムセクションによるビートだけでスタートする贅肉を極限まで削ぎ落としたオープニングは、デビューアルバムのトップを飾る曲としては珍しい非常にシンプルなアレンジです。
その強靭なビートによって体が自然と動き出し、これからどんなプレイが飛び出してくるのかワクワクさせられました。
満を持して飛び出すのは、ただのコード弾きによるギターリフ。
あまりにシンプル極まりないアレンジながらも、浮遊感のある響きで曲の世界に引き込んでくるセンスには新人バンドらしからぬ玄人じみたものを感じます。

それもそのはず、前身バンドの[Fargo]は1973年から活動を始めてメジャーレーベルのEMIからアルバムを4枚も発表したベテランバンド。
そんなメンバーが揃ってデビューしたバンドなので、そこらのジャーマンメタルバンドとは比較にならないほど卓越した演奏力を持ち合わせているのも納得です。

そこにジョイントしたCharlie Huhnのパフォーマンスも素晴らしいの一言。
ハスキーな声で艶かしくメロディを丁寧に歌い上げ、時には強烈なロングトーンのシャウトで曲を盛り上げます。
七色の声を持つ彼もまた、1975年からプロで活躍してきた苦労人。
デビューアルバムとは言えど、硬さを全く感じさせないベテランの余裕を感じさせてくれます。

複雑なアンサンブルを一切せずにコードの響きと躍動感のあるリズムで曲を聴かせるのは[AC/DC]にも通じるところがあります。
ほのかに哀愁を感じさせるヨーロピアンな雰囲気をわずかに残しているのも、ドイツのバンドらしく好感が持てます。
デビューアルバムの1曲目はまさに名詞代わりの代表曲になりますので、気合を入れて丁寧に作り込んだのでしょう。

アメリカとドイツのベテランが集まって、多国籍料理とも言える骨太なハードロックを作り上げてくれました。
この時代のドイツのロックシーンを象徴する名曲です。

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