チルドレン・オブ・ボドム / イン・ザ・シャドウズ (1997)
1993年にフィンランドで結成されたメロディックデスメタルバンド。
1997年に発表されたデビューアルバム[Something Wild]の2曲目に収録されています。
メロディックデスメタルにネオクラシカルなギターとシンセのテクニカルなユニゾンプレイを取り入れ、世界中で人気を集めた伝説のバンドです。
レコーディング当時は中心メンバーのほとんどが17歳前後と非常に若く、大きな話題となったデビューアルバムの中から、派手さは無いながらも作品の流れを作る上で非常に重要なナンバーがこちら!
今ではメロディックデスメタルと大多数のファンから認知されておりますが、この頃はテクニカル様式美ブラックメタルと呼ばれておりました。
どこにブラックメタルの要素が入っているのかと首を傾げる方も多いかと存じますが、この曲をよく聴けばその答えが隠されています。
メインのギターリフがブラックメタルを代表する名曲である、Darkthroneの[Transilvanian Hunger]に酷似しています。
オーソドックスなヘヴィメタルであると解釈できるアレンジに惑わされ、一聴しただけでは気がつかない人も多いかもしれません。
ここまで似せているのは、間違いなく確信犯でしょう。
ですが、プリミティブなブラックメタルのように緩急の全く無い一本調子なアレンジではありません。
6分の長尺の中で、曲展開が幾度も変化するプログレッシヴメタルのアプローチです。
更に、デスメタルバンドはあまり使用しないクラシカルなギターソロを全面に出しています。
不協和音で不安感を煽るサウンドが主体になっていたジャンルにおいて、革新的なチャレンジです。
また、シンセのサウンドをギターと同じかそれ以上に前面に出しているところも、非常にユニークです。
中でも、オーケストラヒットの音色をここまで多用しているヘヴィメタルバンドは世界初ではないでしょうか。
自分達が影響を受けたバンドたちを文字通り「ごった煮」にして混ぜ合わせてオリジナルを作り上げるも、若さゆえに前のめりで無理矢理な仕上がりになっているところが、微笑ましくありつつも熱意が伝わって胸がほんのりと熱くなってきます。
最後に登場するヴァイキングメタルの始祖とも言えるBathoryの[One Rode to Asa Bay]を引用したメロディアスなフレーズを聞けば、彼らが先人たちへ惜しみないリスペクトを送っているがよくわかります。
後に世界へ羽ばたいていく若者たちが作り上げた、煌めく原石のような名曲です。
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