アモン・アマース / フォー・ヴィクトリー・トゥ・デス (2011)
1988年にスウェーデンで結成されたメロディックデスメタルバンド。
2011年に発表された8枚目のアルバム[Surtur Rising]の7曲目に収録されています。]
北欧神話やヴァイキングを題材にした楽曲と派手なライブパフォーマンスで欧州では圧倒的な人気を誇るバンドです。
1992年に現在のバンド名に改名、1998年にアルバムデビューをしてからは精力的なワールドツアーを行なって知名度を上げていきます。
前作の[Twilight of the Thunder God]はBillboardチャートの50位にランクインするというメロディックデスメタルとしては快挙とも言える記録を打ち立てました。
そればかりか、イギリスの専門誌Metal Hammerが主催するGolden Gods Awardsの中で”Best Breakthrough Act”として選ばれます。
世界中で注目を浴びたバンドは新作のレコーディングに挑み、本作で遂にBillboardのヘヴィメタル部門では1位に輝きます。
その中から、特に強烈な抒情性を持つナンバーがこちらです。
メインテーマとも言える悲壮感漂う強烈なメロディラインが胸に突き刺さったリスナーも多いことでしょう。
日本人には耳馴染みのある[X]の[紅]にも似た侘び寂びを感じます。
タイトルが示す「勝利か死か」のタイトルの通り、ジャケットにもある北欧神話に登場する巨人スルトに立ち向かう勇猛な戦士達を表現するには十分過ぎるほどです。
一瞬の油断が命を落とすことになる緊張感が曲全体から漂っています。
楽曲自体は大きな起伏もなく淡々とした印象で、実はアレンジもそこまで複雑に練り込まれているものではありません。
同じ展開の繰り返しが多く、難しいアンサンブルのテクニックも殆ど使っていないのでパッと聴いたら地味な印象を受けるでしょう。
それだけに、メインメロディが強烈に耳に残るのです。
欧米での圧倒的知名度を知ると、日本での知名度が驚くほど低いことに気が付きます。
日本では非常に人気の高い[Arch Enemy]や[Sabaton]などのバンドを前座に従えてワールドツアーをすることからも、その人気が伺えます。
おそらく、コンサートでの派手なパフォーマンスを体験していないリスナーが多いためでしょう。
海賊船をあしらった大掛かりなセットや迫力満点のパイロは、日本の消防法ではハードルの高いものとなっております。
また、楽曲が比較的地味なところも要因です。
そんな中でも数少ない日本人の琴線に強烈に訴えかける名曲と言えるのでは無いでしょうか。
Amon Amarthを聞いたことがないリスナーにこそ、最初に聞いてもらいたいと思う一曲です。
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