【曲紹介】Deep Purple / Burn

ディープ・パープル / 紫の炎 (1974)

1968年にイングランドで結成されたハードロックバンド。
1974年に発表された8枚目のアルバム[Burn]の1曲目に収録されています。

ハードロックの代表的なバンドとして世界中で愛されている伝説のバンドです。
数々の名曲を矢継ぎ早に連発していた中で、徐々に忍び寄ってきたメンバーの不和。
それは前作[Who do We think We are]を発表後に決定的なものとなり、Ian Gillan(Vo)とRoger Glover(Ba)が脱退してしまいます。
バンドの危機を救ったのは、無名だったDavid Coverdale(Vo)と元[Trapeze]のGlenn Hughes(Vo/Ba)でした。
新メンバーの2人をツインヴォーカルに置き、新しく生まれ変わったバンドとしてレコーディングに臨みます。
こうして完成した作品は、バンドのキャリアを代表する名盤となりました。
その中から、ロックのスタンダードとして世界中で親しまれているナンバーがこちらです。

ありとあらゆるメディアで使用され、バンド名や曲名は知らなくとも誰もが一度は耳にしたことのある必殺のギターリフが炸裂します。
数あるギターリフの中でも世界的な知名度はトップクラスに入るのではないでしょうか。

発表されてから半世紀ほど経過した時代では、あらゆるHR/HMバンド達にに影響を与えているためにテンプレートのようなスタンダードナンバーとなっています。
ですが、当時の音楽シーンにおいては全てが革新的でした。

まず、新加入のメンバー2人にツインでヴォーカルパートを任せることが実に意欲的な試みです。
バンドの顔であったIan Gillanのシャウトを多用したスタイルは非常に強力で、波のシンガーでは太刀打ちできません。
そこでブルージーなパートをDavid Coverdaleが、シャウトを多用するパートをGlenn Hughesが担当することで彼の抜けた穴を見事に埋めました。

クラシカルな旋律を取り入れたギターソロも衝撃的でした。
[Highway Star]でもバロック音楽のコード進行を取り入れていましたが、この曲では[J.S. Bach]の[Toccata und Fuge in d-Moll]からの影響が顕著です。
ハードロックでここまでストレートな引用を行った例は稀でしょう。
後の「お決まり」とも言えるスタイルは、ここから始まったと言っても過言ではありません。

また、歌のバックでドラムソロを披露するというアレンジは前代未聞です。
長い歴史の中で、ドラムという楽器は伴奏の役割を担っていました。
たまに派手なプレイで盛り上げるプレイヤーもいましたが、ポピュラーミュージックにおいては周りを引き立てるものです。

ですが、この曲のAメロでは歌に合わせてIan Paiceの高速スネアロールを多用したプレイが大暴れをします。
ここまでのハイテンポだとプレイが雑になりがちですが、彼の得意技である粒立ちのいい丁寧なストロークが光ります。
また、闇雲に叩くだけでなくメロディラインのアクセントに合わせたプレイをしており、まるで歌を口ずさんでいるかのようなプレイです。

日本人に特に好まれるクラシカルなハードロックは、この曲で完成系を迎えました。
俗に「パープル系」と称される曲は、この曲の焼き直しが星の数ほど存在します。
それだけ音楽の歴史に根付いており、将来的にはクラシックと呼ばれて楽典として形流がれることでしょう。

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