アリス・クーパー / スパーク・イン・ザ・ダーク (1989)
1964年から活動を始めたデトロイト出身のロックシンガー。
1989年に発表された18枚目のアルバム[Trash]の2曲目に収録されています。
音楽活動にとどまらず、俳優としての活動でも知られるマルチタレントであり、アメリカにおいては知らない人は居ないほどのスーパースターです。
80年代に入って一時的に人気が低迷するも、テクニシャンで派手なパフォーマンスの得意なバックミュージシャンを雇って当時流行をしていたヘヴィメタルのカラーを打ち出したところ、徐々にその人気も回復します。
そして、Bon JoviやAerosmithのヒット曲を数多く手がけたDesmond Childをプロデューサーに迎えて制作された本作は、グラムメタル色の強いメロディアスな作風で全米20位を記録してAlice Cooperの代表作となりました。
その中から、ダーティでバッドボーイズロックの雰囲気のあるミドルナンバーがこちらです。
Alice Cooperは、その時代に合わせて音楽性を自由自在に変化させるスーパースター。
演劇の要素たっぷりの観客の度肝を抜くパフォーマンスが有名ですが、音楽面もしっかり作り込まれており、80年代の雰囲気丸出しのハードポップナンバーを作り上げました。
こうした曲において、ドラムはシンプルなプレイを要求されます。
自分の個性を出さず、ただビートを刻む職人が望ましいとされる世界です。
そして、当時のヒット曲は構成がとてもシンプル。
MTV全盛期のため、テレビで流すことを前提で作られています。
なので、ミュージシャンとしてはテクニックの見せ場がほとんどありません。
ただ、それでは退屈です。
必死で練習して、大スターのレコーディングに参加させてもらえるまで腕を磨いて
それで、ドラムマシンの代わりですよ。
だから、どこかで個性を出すんです。
でも、曲の中でそんなの出したらお払い箱です。
今後のチャンスも巡って来ないかもしれません。
じゃあ、どこでやるか?
曲のラストです。
フェードアウト中にやるんです。
ちょうど、エンディングで盛り上がるところだからと言い訳をして派手に叩くんです。
もちろん、怒られない程度に。
そして、仲間に自慢するんです。
「この曲、俺が叩いているんだぜ!エンディングでいろいろやってるから最後まで聞いてくれよ!」ってね。
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