Saxon / 747 (1980)
1975年にイングランドで結成されたヘヴィメタルバンド。
1980年に発表された2枚目のアルバム[Wheels of Steel]の3曲目に収録されています。
ブリティッシュヘヴィメタルの重鎮バンドとして世界中で愛され続けている大ベテランバンドです。
1979年に発表したセルフタイトルのデビューアルバムはセールスとしては惨敗でしたが、本作発表の同年に勃発したNWOBHMのムーブメントが追い風となり、UKアルバムチャートで5位を記録する大ヒット作となりました。
この作品からバンドを代表する名曲がいくつも生まれ、それらはライブのセットリストでも滅多に外されません。
その中の1曲であり、発表以後は一度もセットリストから外れる日は無かったのではないかと噂される人気曲がこちらです。
イントロの泣きのギターのインパクトがインパクト絶大であり、それに対してどこまでもシンプルで淡々と展開するアレンジの絶妙なバランスがこの曲の最大の魅力です。
曲の8割をひたすら同じソリッドなギターリフで押し通し、常に同じテンションのままに曲が終わる潔さはSaxonのバンドとしてのカラーを決定づけました。
1つのリフだけで曲を展開させることは、楽曲の起伏がほとんど存在しないことを意味します。
しかも明確なサビも存在しませんので、押しや引きでドラマチックに楽曲を彩ることもできません。
にも関わらず退屈させない秘訣は、なんと言ってもそれだけで哀愁を感じさせるBiff Byfordの歌声です。
声域は狭く、緩急もほとんど付けないスタイルでも雰囲気だけでも人を魅了できることを証明しています。
唯一メインリフ以外のフレーズが出てくるパートでは、不穏な空気を演出するコード進行が飛び出すのですが、この曲の題材となっている1965年にニューヨークで起こった大規模停電により着陸できなくなった航空機の乗客の恐怖を上手く表現できています。
そこが曲の後半で聞こえる飛行機の急降下する効果音にも繋がっています。
楽曲の意味を知ることによってより楽しめるいい見本ですね。
ヘヴィメタル誕生の歴史を語る上で、決して外すことはできません。
同年に鮮烈なデビュー飾った[Iron Maiden]と[Def Leppard]、そしてメタルゴッドとしての地位を確立した[Judas Priest]と並んでブリティッシュメタルの最高峰として君臨した当時のSaxonに相応しい名曲です。
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