【曲紹介】Judas Priest / Let Us Prey / Call for the Priest

ジューダス・プリースト/ 危害者 (1977)

1969年にイングランドで結成されたヘヴィメタルバンド。
1977年に発表された3枚目のアルバム[Sin After Sin]の5曲目に収録されています。

ヘヴィメタル創世記からシーンを引っ張り、いつしかメタルゴッドと呼ばれるようになったベテランバンドです。
地元の弱小レーベルGullと契約して2枚のアルバムを残すも、成功とは程遠くツアーに明け暮れる日々を過ごします。
収入面で限界を迎えたAlan Moore(Dr)がバンドを脱退してしまうも、好評だったツアーが話題を呼んでメジャーレーベルのCBSと契約を結ぶことに成功。
[Deep Purple]での活動が有名なRoger Gloverをプロデューサーに迎えてのレコーディングを開始します。
空席になったドラマーの座には、当時19歳で売れっ子セッションミュージシャンとしてのキャリアを築き始めていたSimon Philips(Dr)が参加。
これまでにない好環境でレコーディングされた本作は全英チャートに始めてランクインし、最高23位を記録します。
そんな誉れ高きメジャーデビューアルバムから、バンドとしては初のスピードナンバーがこちらです。

Let Us PreyとCall for the Priestによる2部編成の組曲形式となっています。
[Queen]に影響を受けたであろう、ギターやヴォーカルを多重録音した消極が1分ほど流れ、そのままCall for the Priestへと違和感なく突入します。

当時のJudas Priestとしては最もハイテンポなスピードナンバーであり、ドラマチックな曲展開を構築するセンスはこの頃から完成されています。
ギターリフはハードでエッジが効いていますが、音作りがマイルドであるためにヘヴィメタルの攻撃性はそこまで感じられません。
むしろ、[Rob Halford]のシアトリカルな歌い回しが古き良きブリティッシュロックの雰囲気を演出しています。

この部分はギターソロで最も際立っており、美しいツインリードハーモニーはWishbone Ashからの影響が見え隠れしています。
中間部分ではLet Us Preyのフレーズも再び顔を出し、プログレッシブロックの要素も持ち合わせています。

この曲を引き立てる影の主役といえば、セッションメンバーとして参加した当時19歳の若きドラマーSimon Philipsです。
前任のAlan Mooreが脱退し、ドラマー不在でレコーディングに臨む際の助っ人で雇われ、メンバーからパーフェクトと絶賛される彼のプレイは確かに完璧の一言。
スピード感溢れるツインバスの連打や、一糸乱れるユニゾンプレイはバンドの持つテクニカルな側面を更にブラッシュアップしています。

そのボトムを支えるIan Hillの軽やかなベースプレイも聴き逃せない部分です。
過去作に比べて派手なプレイはせずにリズムを重視したプレイに徹しているのですが、スタッカート気味に細かく刻まれる前のめりなプレイは楽曲の持つ疾走感を更に増幅する名演です。

ライブで演奏されることはありませんし、ファンから話題に挙がることも非常に少ない曲です。
ただ、このスタイルを発展させて[Exciter]や[The Hellion]などの楽曲が生まれました。
そういう意味ではヘヴィメタルバンドとして新たな一歩を踏み出す轍となった名曲です!

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コメント

  1. より:

    5番目ですよ。

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