【曲紹介】聖飢魔II / 地獄の皇太子

聖飢魔II / 地獄の皇太子 (1985)

1982年に東京の早稲田大学で結成されたヘヴィメタルバンド。
1985年に発表された地球デビュー大経典(アルバム)[聖飢魔II〜悪魔が来たりてヘヴィメタる]の2曲目に収録されています。

悪魔によるヘヴィメタルを用いた布教活動という徹底したコンセプトとイメージ戦略によって、ジャンルの垣根を超えて成功をした伝説的なバンドです。
早稲田大学の音楽サークル内でダミアン浜田地獄皇太子殿下によって結成され、メンバーチェンジを繰り返しながらのんびりとミサ(ライブ)活動をを続けます。
そんな中で、ダミアン浜田殿下が突然地獄へ戻る(故郷へ戻る)事となり、バンドは解散の危機に瀕します。
しかし、解散が決まる前に応募していたコンテストで勝ち進んでいることを理由に、リーダーをデーモン閣下に交代してバンドは何とか存続します。
ダミアン浜田殿下も1年間は地上に留まる猶予が与えられ、その間にオーディションによって1984年にCBSソニー傘下のFITZBEATよりメジャーデビューが決定。
しかし、地球デビューが決まったことで悪魔よりも世を偲ぶ仮の姿での生活を望む構成員達が相次いで脱退。
ダミアン浜田殿下も猶予期間が終わって地獄へ帰還してしまったので、デビューアルバムの締切に間に合わせるためにレコーディング作業と並行して急遽オーディションを開催。
演奏はプロデューサーの渡辺建が率いる[Prism]の手を借りながら、何とか完成させたのが本作です。
その中から、結成初期から長らく信者から愛されているスピードナンバーがこちらです。

デーモン閣下によるインパクト絶大なタイトルコールと共に疾走するスピード感のあるリズムは、アルバムのオーニングを飾るのに相応しい内容です。
美しいツインリードのハーモにが奏でるイントロは、この時代のヨーロピアンなヘヴィメタルの王道サウンド。
ダミアン浜田殿下のテーマソングとしてデーモン閣下が作詞作曲しただけあって、他の楽曲と比べるとストレートな歌詞とフォークソングのように朴訥としたメロディラインが否応にも耳に残ります。

ですが、曲全体に漂うムードは80年代初頭の北欧メタルに近いものがあります。
[Europe]や[Madison]のデビューアルバム、またはマニアックなところで言うと[Mindless Sinner]のミニアルバムあたりがわかりやすいでしょうか。
宣伝広告費に予算の殆ど使ってしまい、低予算の劣悪な音質でレコーディングされたこともマイナーメタルを好むマニアが喜ぶポイントとなっています。

構成員のオーディション中だった関係でレコーディングを担当した[Prism]は業界でも一目置かれるほど卓越したテクニックを持つFusionバンドですが、ヘヴィメタルの演奏にはあまり慣れていないのかぎこちないパフォーマンスです。
攻撃性とは無縁の緩いビートと、非常に丁寧に奏でられるギターソロが演奏に慣れていない新人バンドの雰囲気を演出していて逆に味があります。
レコーディング完了後に加入するライデン湯沢殿下(Dr)はシングルバスでの高速連打がトレードマークですが、レコーディングでは木村万作が激しくツインバスを連打しているのも貴重なテイクです。

ダミアン浜田殿下の誕生日を祝ってデーモン閣下がプレゼントしたこの曲は、生まれ出ずる国を穴から見ていた聖飢魔IIの地球デビューの産声を響かせました。
後に構成員達で再度レコーディングも行われることになったバンドを代表する名曲です。

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