ラプソディ / パワー・オブ・ザ・ドラゴンフレイム (2002)
1993年にイタリアで結成されたシンフォニックメタルバンド。
2002年に発表された5枚目のアルバム[Power of the Dragonflame]の3曲目に収録されています。
オーケストラを大がかりに導入し、シンフォニックメタルの新境地を切り開いたバンドです。
“Emerald Sword Saga”という剣と魔法のファンタジーをコンセプトに掲げ、作品を重ねると物語が進行するスタイルは斬新でした。
作品を重ねる度に徐々にアグレッシヴな音楽性に移行し、精力的なツアー活動によってヨーロッパでの人気を高めていきます。
[Dawn of Victory]は本国イタリアよりもドイツと北欧地域、そして特に日本で人気となってそれぞれの国のナショナルチャートへもランクインを果たします。
ストーリーの最終章前編となる[Rain of a Thousand Flames]を挟み、いよいよクライマックスとなるアルバムのレコーディングに入ります。
満を持して発表された最終章後編とも言える本作は、本国イタリアの音楽チャートで15位にランクインしただけでなくバンドの最高傑作に挙げるファンも多くいる名盤となりました。
その中から、特にアグレッシブなスピードナンバーであるタイトルトラックがこちらです。
凄まじいスピードで刻まれるギターリフと、それにユニゾンして踏み鳴らされるツインバスの連打と相まってテンションは限界を振り切ります。
オーケストレーションもバンドのアンサンブルも、どちらも遠慮の欠片もありません。
楽曲の始まりからラストまで力で押し切る強引さは、否応にも納得させられる説得力があります。
王より”龍将”の称号を得た主人公の氷の騎士。
任命の挨拶とばかりに全ての兵たちを集めて鼓舞する演説を盛大に行います。
“立ち上がれ!勇ましきドラゴン達よ!今こそ立ち上がるのだ!”
それを演出過剰気味にシャウトするFabio Lione(Vo)
ここを聴くだけで胸が熱くなってきます。
緊張感に溢れるイントロ、そして徐々に壮大になっていく曲展開。
ビートが倍になり、盛り上がりもクライマックスに達したところで視界が一気に開けたかの如き解放的なサビ。
押し付けがましいほどにリスナーの感情を揺さぶります。
壮大で分厚いコーラスで歌われる内容は多くの兵の心に刻まれ、彼らは声を揃えて氷の騎士を讃えます。
“静寂に包まれし丘より、我らは貴公の名を声高らかに叫ぼう!最強なる龍炎の力を纏い、聳え立つ山を越えて現る!勇敢で誇り高き我らが龍将よ!”
目を閉じれば、感動に打ち震えて涙を流しながら声を張り上げる兵たちの姿が浮かんできます。
Rhapsody Of Fire時代の楽曲も含めて検証してみても、これほど派手でアグレッシブで強烈な楽曲は見つかりません。
これ以上に激しい楽曲を生み出すことができずに方向転換を余儀なくされたバンドの事情も伝わってきます。
数あるシンフォニックメタルの中でも極限までハイテンションに振り切っており、聴くもの全てを唖然とさせるでしょう。
剣と魔法のファンタジーをテーマにした楽曲の究極系とも言える名曲です。
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