【曲紹介】Danger Danger / Sick Little Twisted Mind

デンジャー・デンジャー / シック・リトル・ツイステッド・マインド (1998)

1987年にニューヨークで結成されたハードロックバンド。
1998年に発表された4枚目のアルバム[Four The Hard Way]の2曲目に収録されています。

煌びやかなルックスと爽快なサウンドを武器に、メンバーチェンジを繰り返しながら息の長い活動を続けるベテランバンドです。
セルフタイトルのデビューアルバムとそれに続く[Screw It!]は、キャッチーなメロディが光る[Bon Jovi]にも似たサウンドで多くのファンを獲得しました。
しかし1994年に3枚目のアルバム[Cockroach]が完成すると、リリースを前にしてTed Poley(Vo)がバンドを解雇されてしまいます。
後任にカナダ出身のシンガーPaul Laine(Vo)を迎え入れてヴォーカルパートを差し替えるも、Ted Poleyとの法的闘争によってアルバムは発売停止に。
その余波で所属していたEpicとも契約を失い、モチベーションの低下によってAndy Timmons(Gt)も脱退してしまいました。
ピンチに陥った残ったメンバーは諦めずに自主レーベルとしてLow Dice Recordsを立ち上げ、3人編成で新たにレコーディングした[Down]をリリースします。
しかし、時代のトレンドに合わせたダークな作風でセールスは振るわず。
その反応を感じ取ったバンドは[Cockroach]収録曲を再度レコーディングして新曲と織り交ぜ、ニューアルバムとして本作をリリースをします。
その中から、グランジムーブメントからの影響の濃いヘヴィナンバーがこちらです。

珍しくBruno Ravel(Ba)がリードヴォーカルを担当しており、ヘヴィな曲調と驚くほどマッチしています。
Paul Laine(Vo)が高音パートをオーバーダビングするアレンジは、音楽性と相まってツインヴォーカルの[Alice In Chains]と共通点を多く感じます。
かといって[Dawn]のようにダーク一辺倒ではなく、しっかりとメロディアスな部分もバランスよく残しているのが嬉しいところ。
Andy Timmons(Gt)もゲストで参加しており、テンションの高いテクニカルなギターソロやを聴かせています。

間奏でのシンセストリングスを使った展開は、まるで[Led Zeppelin]のKashmirです。
ハードポップだったデビュー当時からは想像もできなかったアレンジですが、セルフプロデュースによって自身の音楽的ルーツを反映させることができたのでしょう。

意外と知られていませんが、鉄壁のリズムセクションをはじめアンサンブルの技術は高いバンドです。
こういったヘヴィなナンバーでは、その持ち味をより活かせているように感じました。

トラブルに負けず。脱退したメンバー達とも友好な関係を保ちながら過去のマテリアルを使って生み出された隠れた名曲です。
グランジ/オルタナティブ化の波に飲まれたバンドの中でも、柔軟に対応できた好例ではないでしょうか。

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