【曲紹介】White Spirit / Midnight Chaser

ホワイト・スピリット / ミッドナイト・チェイサー

1975年にイングランドで結成されたヘヴィメタルバンド。
1980年に発表された唯一のアルバム[White Spirit]の1曲目に収録されています。

[Gillan]や[Iron Maiden]での活躍が有名なJanick Gersが在籍していたことで知られているバンドです。
バンドの歴史は長く、結成は1975年に遡ります。
地元でのローカルな活動をしていましたが、1980年に新興レーベルあるNeat Recordsからシングルを発表するとNew Wave Of British Heavy Metalのムーブメントに乗って知名度が急上昇。
同年のうちにMCA Recordsの目に留まり、メジャーデビューが決定します。
すぐさまレコーディングに入り、完成したデビューアルバムは古き良きブリティッシュハードロックの雰囲気を色濃く残す作風で人気を得ました。
その中から、アルバムのトップを飾るスピード感溢れるナンバーがこちらです。

[Iron Maiden]繋がりでこのバンドを知ったリスナーならば、初っ端のギターリフで驚くと思います。
あの名曲[2 Minutes to Midnight]にソックリなんです。
向こうは1984年のリリースであり、この曲の4年も後です。
それだけ切れ味の鋭い強烈なリフですし、極めてシンプルなので引用したくなるのもよく理解できます。

強烈なのはギターだけではなく、そこにユニゾンするオルガンの存在も無視できません。
[Deep Purple]や[Uriah Heep]からの影響が色濃く出ており、2つの異なる音色による分厚いリフは耳に強く焼き付きます。
70年代のハードロックが好きなリスナーならば、たまらないアレンジではないでしょうか。

そこに前のめりでパンキッシュなビートが絡むため、このバンドにしかない独特の雰囲気があります。
このビートを叩き出すのが後に[Tank]へ移籍してあの名盤[Honour & Blood]での屋台骨を支えることになるGraeme Crallanです。
ガシガシと攻撃的なドラミングは多少のテンポの揺れもなんのその、リスナーを高揚させるエネルギーを持ち合わせています。

シンガーのBruce Ruffもソウルフルでコブシの効いた素晴らしいパフォーマンスを聞かせてくれます。
過剰にビブラートをかけて歌うスタイルは、たまに音程がどこかに飛んでしまう部分も含めて愛嬌として受け止めることができます。
このバンドでのパフォーマンスのみで引退してしまったようですが、バンドの雰囲気にはよくマッチしていると思いました。

インパクトの強いギターリフやリズム対して、Janick Gersのソロは意外にも控えめです。
プレイから服装までRitchie Blackmoreに大きな影響を受けている彼ですが、速弾きはほとんどせずに浮遊感のあるインプロゼーションに終始しています。
ですが音作りから独特のフィールまでソックリに再現しており、まるでライブコンサートでの長いソロタイムを見ているかのような錯覚に陥ります。
有名なフレーズだけではなく、スタジオテイク以外もしっかりと研究しているファンの鏡と言えるでしょう。

大きな飛躍をする前に解散の憂き目に遭った不運のバンドですが、在籍メンバー達の後の活躍で再評価もされています。
NWOBHMムーブメントにしっかりと楔を打ち込んだ名曲です。

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