【曲紹介】Loudness / Soldier Of Fortune

ラウドネス / ソルジャー・オブ・フォーチュン (1989)

1981年に大阪市で結成されたヘヴィメタルバンド。
1989年に発表された8枚目のアルバム[Soldier Of Fortune]の1曲目に収録されています。

日本のヘヴィメタルバンドとして初めて全米チャートのTOP100の作品を作り出し、ニューヨークのMadison Square Gardenで演奏をした伝説のバンドです。
1985年の全米デビュー後は精力的なライブツアーを重ねますが、レーベルの人事トラブルに巻き込まれて前作の[HURRICANE EYES]は充実した内容に反してセールス面で苦戦を強いられます。
活動に行き詰まりを感じたバンドは慣れない英語の壁で実力を発揮できずにいた二井原実(Vo)を解雇し、アメリカ人である元[Obsession]のMike Vesceraを迎え入れます。
新たな布陣で製作された本作は、ネイティブな英語による真の意味でのワールドワイドなヘヴィメタルの名盤となりました。
その中からバンドの代表曲となったアップテンポのナンバーがこちらです。

なんと、ブリティッシュメタルに影響を受けた初期の方向性に回帰してくれました。
イントロのメロディアスで湿り気のあるギターリフは、彼らの楽曲の中でもトップクラスのインパクトを誇る名演です。
アリーナロックの方向性を押し進めた前作が満足行くセールスを上げられなかったことで、無理をしてアメリカのトレンドに寄り添わずに自分達のやりたい音楽を追求できたのでしょう。

Mike Vesceraの歌も初っ端から絶好調。
“歌うマーシャルアンプ”の異名は伊達ではなく、圧倒的な声量を武器としたシャウトを隙あらばねじ込んできます。
元々は日本のバンドらしいキャッチーでヒロイックなメロディラインなのですが、彼が歌うといかにもアメリカ人らしい魅力的なラフさが出てたまりません。

高崎晃のギターソロも非常に個性的です。
エフェクトを切ってあえてペラペラなサウンドで弾く両手タッピングは、まるでビデオゲームのBGMで使われるパルス波のように聞こえます。
もちろん、後半部分はピックに持ち替えて驚くほど正確な高速プレイを連発してくれます。

ドラマーの視点で聴くと、実はこの曲は樋口宗孝が最も活き活きとしています。
堅実なプレイに聴こえて、要所要所で高度なテクニックを使ったギミックを施されているのがわかるでしょうか?
バスドラムとタムを絡めた派手なフィルインをイントロのメインのビートに入る直前や、これからサビというところでスネア連打の前にクールにはめ込んでいます。
フレーズ自体は少し練習をすれば出来るのですが、曲のリズムを止めずに流れるように叩くには基礎と経験がものを言います。

日本のレジェンドバンドがまさかの国際的なメンバー編成で臨んだ代表的名曲。
多くのヘヴィメタルファンに衝撃を与えました。
余談ですが、テクノソフトから発売されたメガドライブ用シューティングゲーム”Thunder Force IV”には、この曲からインスパイアされたMetal Squadという曲が収録されています。
ゲームミュージック史に残ると言われる名曲を産むきっかけになったことからも、この曲の重要性が伺えます。

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